米軍属免停処分 こんな露骨な不平等許せぬ

 「こんな処分は納得いかない」と遺族が憤るのも当然だ。県民の誰もがおかしいと思っている。
 ことし1月に沖縄市で起きた交通死亡事故のことだ。那覇地検が事故を起こした米軍属男性を「公務中」と認め不起訴処分とした問題で、米軍はこの軍属男性を「5年間の免許停止処分」にしたことが判明した。

 「免許停止」とは、日本の行政処分に当たるものだ。通常、事故を起こした人は、十分な捜査で得られた証拠を基に起訴され、刑事罰が科されるはずだ。遺族側も「刑事裁判にかけられる事案」と主張している。
 日米地位協定第17条では事故を起こした人が米軍人や軍属で「公務」と判断されれば、第一次裁判権は米側にあると定められている。
 今回の事案でも軍属男性は「帰宅中」と判断され、日米地位協定や日米合同委員会合意に基づき、「公務」と認定されている。
 だが、仲井真弘多知事が「仮に公務中であったとしても人をはねて死亡させ、日本で裁判ができないのは理解不能だ」と話すように、この事案でもまた日米地位協定の不平等さが露骨に表れている。
 「公務」認定の根拠となった地検の詳細な捜査内容は明らかにされていない。即刻、公表すべきだ。
 地検の遺族側への説明では、業務終了を打刻したタイムカードの写しから事故発生まで約11分しか経過していないことを根拠に「公務」としたという。
 地検は軍属男性の事故前の行動や勤務状況を本当に十分捜査したのか。遺族側がタイムカードの写しは偽造されたものではないかと疑うのも無理もない。
 米軍からの一方的な「公務証明書」を受け、安易に公務中の事故と判断していないか。
 「公務中」と、誰が判断するのかあいまいであり、恣意(しい)的な運用も可能だ。疑問が残る。
 日本の司法や基本的人権よりも日米安全保障条約や日米地位協定が優先される実態は、どう考えてもおかしい。逆の立場なら米軍、今回の加害者はどう考えるか。
 日米地位協定は締結から50年を経ても一度も改定されていない。国内で起こった事件・事故さえも日本の法で裁くことができない理不尽な状況がいつまで続くのか。
 県民の願いは、日米地位協定の抜本的見直しだ。不平等の放置を一刻も早く改めるべきだ。