知事外相会談 思考停止なら「不信任」だ

 いったい何をしに来たのか。迷惑千万な来県と言うほかない。松本剛明外相のことである。
 普天間飛行場移設問題で政府は「沖縄の声に耳を傾ける」と繰り返してきたが、実際には民意をくむ姿勢などない。政府の考えを一方的に押し付けるばかりだ。

 松本外相も、代替施設の位置や工法について県の理解がなくても日米で決める方針を示した。
 「沖縄に伝えた」というアリバイづくりの来県だろう。中国人観光客の数次査証発給で沖縄が軟化すると考えていたとしたら、救いようがない。
 辺野古移設には数々の疑問がある。まず師団規模の海兵隊を日本に置く必要があるのか。「トモダチ」作戦以降、日米両政府は災害救援で必要と言いたいようだが、被災地へ物資を届けたのは11日後だ。遠征先のマレーシアからの移動であり、米本国から向かったとしても11日以内の到着は可能だろう。ましてグアムやハワイからならほとんど変わらないはずだ。
 百歩譲って、日本に置く必要があったとしても、それが沖縄である必要はない。本土の災害への支援であるなら、本土に置いた方がよりスピーディーであるはずだ。沖縄でなければ機能しない、などということはあり得ない。
 日本に置くのは、世界史上例がない莫大(ばくだい)な「思いやり予算」があるからではないか。沖縄に置くのは、日本本土が嫌がるからではないか。本土住民の反発は怖いが、沖縄の民意は押し切ればいいと思っているからではないか。
 これらの疑問に、政府から納得のいく答えが示されたためしがない。納得のいく答えなど存在しないからだろう。
 仲井真弘多知事は「地元の理解を得られない移設案の実現は事実上不可能」と述べた。これ以上の無理強いは時間の無駄だ。そんな案にしがみつき、民意に背を向け、防衛・外務官僚ら「安保マフィア」の振り付け通りに大臣が動くさまは滑稽でさえある。民主党が掲げた「政治主導」はどこへ行ったのか。
 原発と同じで、弱者に迷惑施設を押し付ける差別の構造を続けてはならない。福島瑞穂社民党党首が語る通り、原発同様、在日海兵隊が必要か、「そもそも論」を始めるべき時期だ。
 米軍問題でこのまま思考停止を続け、民意を無視する政権なら、不信任を突き付けるしかない。