防衛相の通告 むなしい民意無視の愚策

 沖縄の方言に「イラランミー」がある。物事の解決が到底見込めない方策を自ら選択して迷路に入り込み、にっちもさっちもいかなくなるという意味合いの言葉だ。
 米軍普天間飛行場の返還・移設問題で、米国の主張に唯々諾々と従い続ける日本政府は、まさにイラランミー、袋小路に入り込んだ。
 仲井真弘多知事と会談した北沢俊美防衛相は、名護市辺野古に代替基地を建設する日米合意をあくまで推進し、その形状を滑走路2本のV字形とする方針を伝えた。

 さらに、米側から2012年後半にMV22オスプレイを配備する方針を伝達されたことをそのまま伝え、知事に理解を求めた。
 会談とは名ばかりで、21日に開く予定の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意する内容を事前に通告したにすぎない。
 米側に沖縄の説得に努めたと顔向けするため、既に決まっていたV字形案、オスプレイ配備、移設期限の先延ばしを一方的に吐き出した格好だ。もはや会談という言葉を用いることも的外れだ。
 民主党政権は「民主」を語る資格を失った。県外移設要求を強める仲井真知事が「県民や地域住民の納得がないと進められない」と反論したのは、民主社会のリーダーとして当然だ。
 本紙が実施した、オスプレイ配備への見解を問う県内市町村長アンケートで、全41人中38首長が配備反対を明言している。
 辺野古沿岸と大浦湾にまたがる豊かな自然が息づく海を埋め立てて新たな米軍専用基地を造り、現普天間飛行場に墜落事故を頻発させた危険機種を配備する。負担軽減に逆行する日米の強引な施策を沖縄社会が許容する余地はない。
 知事との会談で、北沢氏は県が提出していた県内移設を正当化する防衛庁冊子への疑問点に答えることもなかった。答えられないというのが実態なのだろう。
 政府の姿勢は、沖縄の民意を反映した対米折衝の仕切り直しに踏み出さないという点だけ一貫している。
 日米双方は、2プラス2の合意が履行されない限り、普天間飛行場が固定化されるとはやし立て、沖縄社会に圧力をかけるだろう。
 だが、危険性放置の全責任は「県外移設」を求める民意を無視し続け、実現可能性ゼロに等しい案を推進する民主党政権にある。むなしい愚策を重ねてはならない。