米兵犯罪防止 実効ある飲酒対策を取れ

 多発する米兵の飲酒絡みの事件事故に対し、県民の怒りの表れだ。強盗致傷の罪で起訴された米兵の被告に対する那覇地裁判決で、米軍に対する要望として読み上げられたメッセージのことだ。

 裁判長が裁判員と評議した上で「酒に酔っての犯罪が多い。基地からの夜間の出入りや飲酒などのチェック体制を整備してほしい」と米軍に要望した。メッセージとは言うものの、続発する飲酒絡みの事件事故に対する県民の憤りだ。米軍に再発防止をさせ切れない国の弱腰をも糾弾していると受け止めた方がいい。
 個人を裁く公判の場で、個人の属する組織に説諭する例は珍しい。裁判員制度が市民感覚を反映し、県民の立場から発した率直な気持ちといえる。
 今回の事件は悪質だが、酒絡みでないと起こらなかっただろう。
 北谷町のビーチでも米兵のモラルが問われている。持ち込みが禁止されているビールなど瓶類の投棄が相次ぐ。割れた瓶の破片が砂に埋もれれば危険だ。英文の利用規則を配っても一向に改善されないという。
 飲酒絡みの事件事故、ビーチの利用規則さえ守らない。背景には、酒を飲んでも多少のことは許されてきたという土壌がないか。
 酒絡みの事件事故が続き、米軍は昨年6月から午前0時以降、基地外のバーやクラブなどへの立ち入りを禁止した。だが、それ以降も米兵の姿はあった。今回も午前0時以降に酒を飲んでの事件だ。
 実効性を担保しないまま、形だけの綱紀粛正策で県民の反発をかわそうとする。何度も繰り返されてきたことだ。米兵の血を代償に勝ち取った地では、多少のことは許されるという占領意識が根底にあるのなら時代錯誤も甚だしい。
 特権意識を国が助長しているともいえる。日本側に第一次裁判権がないとされる「公務中」の範囲に、通勤や職場での飲酒まで含め米側に有利なように運用している。その上、秘密にしていた。日本人なら当然起訴されるべきものを、公務中を理由に不起訴になる。米軍の横暴を日本政府が下支えしている図式だ。
 ただでさえ、沖縄は過重な基地負担にあえいでいる。その上に酒絡みの事件事故では、我慢にも限りがある。さらに大きな事件事故が起こる前に、飲酒に対して実効あるチェック体制を取れ。今回のメッセージは県民からの警告だ。



琉球新報