枯れ葉剤使用 基地内の調査は当然だ

 在沖米軍基地内で枯れ葉剤が広く使われていた可能性が、元在沖軍人らの訴えで明らかになった。
 米軍は従来、「沖縄で枯れ葉剤の使用、貯蔵を裏付ける資料や記録はない」と、土壌や水質の調査を拒否してきた。

 だが今回は直接枯れ葉剤を扱った当事者の証言である。信憑(しんぴょう)性は極めて高い。ことは住民の命、健康に関わる問題だ。軽んじるのは許されない。沖縄の自治体立ち会いの下、直ちに日本政府は調査すべきだ。
 枯れ葉剤は青酸カリの千倍の毒性を持つダイオキシンを含む。それを米軍はベトナムで1961年から10年間散布した。住民から生まれた先天障がい児は約15万人と推定され、40年経た今もその影響とみられる障がい児が生まれている。作戦に参加した米兵から先天障がい児が生まれる確率は一般の15倍に上るという研究もある。
 ベトナム戦争時、ほとんどの軍事物資は沖縄を経由した。枯れ葉剤もそうだとみるのが自然だ。むしろ枯れ葉剤だけ沖縄を経由しなかったと言う方が不自然だろう。
 今回、沖縄で散布の可能性が明らかになった基地は11施設に上る。うち泡瀬通信施設、那覇軍港など8基地は元米軍人らが健康被害を申請している。
 その基地は沖縄本島の北部、中部、南部と広範囲にわたる。ベトナムや帰国米兵に表れた影響から見ても、沖縄全体に重大な影響のある深刻な問題と言える。
 韓国でも今年に入り、枯れ葉剤廃棄が問題化している。78年、在韓米軍基地キャンプ・キャロルで、枯れ葉剤入りとみられるドラム缶500本以上を地中に埋めたと元在韓米軍人が証言した。
 米軍当局は埋めたことを認め、問題の基地を素早く公開するなど世論の悪化防止に懸命である。
 韓国ですぐ公開する米軍が沖縄で調査を拒むとすれば、ひとえに日韓両国の姿勢の違いによるものだ。沖縄の基地被害をひとごとのように扱い、韓国のように厳しく追及しようとしない日本政府の底意が、米側に見透かされた結果とみるべきだ。
 米軍は、基地管理の全権を米軍が握る地位協定の「排他的管理権」を盾に調査を拒否したがるだろうが、日本政府がそこでひるんでは住民の命を差し出すに等しい。属国的対応で県民の怒りを買う前に、日本政府は、主権の問題として、不退転の決意で臨むべきだ。