放射性廃棄物 情報隠しは許されない

 米軍が東日本大震災の支援活動「トモダチ作戦」を展開した際、福島第1原発事故で出た低レベルの放射性廃棄物が、米軍普天間飛行場に保管されていることが分かった。
 外務省は6月下旬に在日米軍から情報提供されていた。なぜ1カ月半も前に把握していながら地元に伝えなかったのか。

 国には国民の安全を守る義務がある。公表遅れは重大な問題だ。既に米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は6月21日、米軍が放射性物質に汚染された航空機25機を除染したと報じていた。
 在沖米海兵隊報道部は先月、本紙に対し、普天間飛行場のCH46中型ヘリ8機を米軍厚木基地で除染したと説明。普天間飛行場に帰還後、6機のエンジンなどの放射線量が増えていたことを明らかにしている。
 ところで外務省が県と宜野湾市に伝えた「低レベル」とは、国際的に認められた明確な基準ではない。「高レベルではない」という程度の極めてあいまいなものだ。
 外務省によると、長崎県の米海軍佐世保基地、神奈川県の米軍と海上自衛隊の横須賀基地、青森県の米軍三沢基地にも放射性廃棄物が保管されている。
 いずれも「低レベル」と説明しているが基地周辺住民は納得しまい。速やかに具体的な数値の公表を求める。除染の方法や放射性廃棄物の保管場所、処分方法も明らかにすべきだ。
 米軍が情報を提供しないのであれば、基地内の立ち入り調査を求めたい。1973年に日米合同委員会で合意した「環境に関する協力について」という文書がある。
 同合意文書によると、県や市町村は、米軍現地司令官に対して環境調査を要請することができ、調査結果は可能な限り速やかに通知されると定めている。現地司令官が許可すれば自治体は問題の場所を視察できる。
 福島第1原発事故に関して日本政府の情報隠しが問題になっている。
 例えば緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)でつかんでいた拡散情報の公表を遅らせたたため、住民を危険にさらした。さらに原発に関する報道内容も監視していた。
 原発事故による風評被害を防ぐのは、政府による情報管理ではない。国民の知る権利を保証し積極的に情報開示することに尽きる。