メア氏与那国発言 総領事は背広を着た軍人か

 「善き隣人」を掲げるその国は沖縄の民に公然とうそをつき、国益と軍事を最優先して恥じないようだ。内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米公電により、国境の島を舞台に米軍と在沖米総領事館の裏面が暴かれた。
 在日米海軍は2007年6月、県や与那国町の反対を押し切り、掃海艦2隻を与那国町の祖納港に県内民間港で初めて寄港させた。

 その際、台湾海峡有事の際の利用を想定し、港をつぶさに調べ上げていた。米海軍は「友好親善と乗員の休養」を寄港目的としていたが、真の狙いは軍事利用そのものだった。
 それを証明したのは、当時のケビン・メア在沖米総領事が本国に打った公電だ。メア氏は「海峡有事の際に、対機雷作戦の拠点になり得る」と極秘に報告していた。
 さらに、祖納港の深さを挙げ、「掃海艦4隻を一度に収容できる」「与那国空港を利用し、ヘリコプターを掃海艦支援に使えば、台湾に最も近い日本の前線領土として拠点になり得る」としていた。
 中国と台湾が紛争に突入したことを想定し、米軍は中国軍が洋上に機雷を敷設することを脅威と見なしている。寄港への抗議の声を過小評価しつつ、町民があずかり知らないところで軍事要塞(ようさい)化を図る驚くべき認識だ。民意を無視した米軍の掃海拠点化は許されない。
 在沖米総領事館は国務省の出先機関である。米国や米軍基地に対する沖縄の世論を適切に把握し、本国に伝える役回りがある。
 だが、メア氏の公電は、「総領事は背広を着た軍人なのか」という疑念を深めた。県民に背を向け、米国の国益を追い求める総領事館の一断面を浮かび上がらせた。
 「沖縄はゆすりの名人」とした蔑視発言で国務省を追われたメア氏特有の問題でなく、米国の沖縄社会に対する向き合い方を投影していると見るべきであろう。在沖総領事館にシビリアンはいるのか。米政府関係者は問題の深刻さを自覚すべきだ。
 外交努力によって紛争を未然に防ぐことを後回しにし、島民生活の命綱である港を軍事拠点化しようとする無神経さにあきれる。
 自衛隊配備は容認している外間守吉与那国町長は「米軍は依然として占領意識を持っている。とんでもない」と憤りを隠さない。
 友好親善を名目にした米軍艦寄港や米軍機の民間空港使用も軍事目的と見なした方が妥当だろう。