ノーベル平和賞 誇り高い「非暴力の闘い」

 2011年のノーベル平和賞は、西アフリカ・リベリアと中東・イエメンの女性3人に授与されることが決まった。宗教的戒律や因習などにより、女性の権利や行動が抑圧された社会にあって、女性の権利向上を目指す「非暴力の闘い」を貫いたことを賞賛したい。

 アフリカ初の女性大統領であるリベリアのエレン・サーリーフさん(72)、同国の平和活動家リーマ・ボウイーさん(39)、イエメンの人権活動家タワックル・カルマンさん(32)で、女性3人の同時受賞は史上初。平和な社会の構築と民主主義の実現には、女性の権利拡大が不可欠である―との国際社会への強いメッセージと受け止めたい。
 リベリアでは民族対立などを背景に、1989年から14年間にわたって内戦が続き、レイプも多発した。ボウイーさんは内戦を終わらせるため、女性を組織化して反戦デモなど平和運動を展開。軍事政権を批判し投獄された経験を持つサーリーフさんは、亡命を経て、内戦終結後の05年の大統領選で当選し、国家再建に取り組む。
 とりわけ、長期独裁政権が続くイエメンで、サレハ大統領退陣を求める反政府デモを主導するカルマンさんは、史上最年少で、アラブ女性として初の受賞者となる。授与決定には、中東の民主化運動「アラブの春」への評価も含まれており、歴史的な意義がある。
 今年1月のチュニジアの政変を機に、民主化運動は中東全域に拡大。チュニジア、エジプトで長期独裁政権が崩壊する一方、カルマンさんのイエメン、シリアでは政権によるデモ弾圧で混乱が長期化。カダフィ大佐が君臨したリビアでは内戦が続いている。大国サウジアラビアでも一部地域で暴動が発生するなど市民の不満はくすぶる。民主化の道は険しく、道半ばであることも忘れてはならない。
 人権侵害や住民弾圧がなお続く中東やアフリカの国々では、社会的弱者である女性の地位や権利は男性に比べて極めて低い。女性の権利拡大をさらに推し進めなければ、民主化は望むべくもない。
 ノルウェーのノーベル賞委員会は授賞理由で「多くの国々で依然続いている女性抑圧を終わらせることにつながるよう希望する」と期待を込めた。平和賞が女性を取り巻く状況を大きく変えるきっかけとなり、民主化を実現する原動力、推進力になると信じたい。