クラーク基地跡 跡地再開発の知恵学べ

 基地返還が地域経済にもたらすプラスの効果の大きさは、時の経過とともに鮮明になるようだ。
 フィリピンのクラーク空軍基地が返還され、20年がたった。

 残された滑走路を資源として生かし、24時間離着陸できる国際空港の整備が呼び水となり、約20カ国・地域から進出した企業は千社を超えた。雇用は急増し、基地時代の数倍の6万人に伸びている。
 クラーク地区は、同じルソン島中部にあるスービック海軍基地とともにインフラを生かした経済特区となり、フィリピンでも有数の投資受け入れ地として発展した。
 クラークの活況は、跡地利用の制度を確立し、中長期の計画的な跡利用を進展させることによって、基地よりもはるかに高い生産性が獲得できることを証明している。
 クラーク基地周辺では、基地依存から脱却を果たし、自信を取り戻したとする評価が定着している。
 沖縄社会も基地返還を見据えた将来像を明確に描き、クラーク再開発の成果を基地跡利用に果敢に取り組む糧としたい。
 1991年6月にピナツボ火山が大噴火し、火山灰が基地を埋め尽くした。フィリピン上院は3カ月後、米軍の比駐留延長を認める条約の批准を審議した。米国と国内の保守派が「基地がないと経済がつぶれる」と圧力をかけたが、上院は基地存続ノーを選択した。
 在日米軍再編に伴う大規模な基地返還が待ち受ける沖縄では、基地従業員や地料収入が途絶える軍用地主の不安の声もある。
 こうした状況は、クラークと似通う。1990年代は職を失った基地従業員らの雇用不安が前面に出て、跡利用による雇用効果にはあまり光が当たらなかった。
 だが、企業誘致を担う開発公社の設立や固定資産税免除などの優遇措置が奏功して世界中から企業が進出した。スービック海軍基地跡地には韓国有数の造船会社が造船所を建設し、今後の雇用規模は2万人に上るという。
 嘉手納飛行場の倍の4千ヘクタールある広大なクラーク基地跡地だが、進出予定企業が増え続け、土地が不足する状況になっている。
 企業を誘致し、住民生活を向上させる綿密な制度設計と比例して、基地跡の経済効果は確実に高まる。
 県が求める跡地利用新法や跡地への企業集積にも、クラークの大胆な発想を取り入れたい。