アセス発注 お手盛り批判は免れない

 これで公正な調査だったと言えるだろうか。米軍普天間飛行場の辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の事業を2009~11年度に受注した全ての業者に、防衛省OBが天下っていた。

 本来、アセスは第三者が客観的な立場で調査すべきものだ。防衛省のOBが天下った会社が、防衛省に不利な結果を出すはずがない、と思うのが普通の受け取め方だろう。しかも実質的な随意契約だ。「お手盛り発注」の批判は免れない。
 アセスは科学的根拠を欠く記述だらけの代物だったが、発注の公正性の面でも問題が浮き彫りとなった。移設自体、安全性や環境破壊の懸念から中止すべきだが、どうしてもアセスをするなら、少なくとも発注からやり直すべきだ。
 このアセスの09年度以降の3年間に発注した事業は13。落札率は一つ残らず90%台後半で、うち九つが99%台だ。全国市民オンブズマン連絡会議の定義だと落札率が90%以上なら「談合の疑いあり」である。
 偶然に99%台で落札するのはそれこそ天文学的確率であろう。天下りと考え合わせれば、「官製談合」と批判されても仕方がない。
 業者に調査手法を提案させる「公募型プロポーザル」という形式だから落札率が高いのは当然、と行政側は主張するのかもしれない。だが99%台を許容するのならそもそも入札制度はいらない。
 なぜこの業者の提案を採用したか、なぜ他の業者の提案では駄目なのかも不透明だ。これでは行政の恣意(しい)で選ぶことも可能である。
 こんな入札がまかり通れば、行政は特定の業者にいくらでも肩入れできる。しかもその業者にOBが天下っているのだから、国家予算を官僚の退職後の身分保障に流用する仕組み、というのに近い。
 民主党は「官僚支配打破」をうたい文句に09年の総選挙を戦ったのではないか。「予算の無駄遣い」批判を前面に掲げて有権者の審判を仰いだのではないか。それがこのような不透明な発注を是認するのでは、「看板倒れ」も極まれり、である。
 天下りを軸にした関係が受注業者選定に影響したのではないか。異常な高落札率は、予定価格が業者に漏れた証拠ではないのか。天下りがある以上、公正な調査はできなかったのではないか。国会はこれらの疑問を徹底的に追及してもらいたい。