米軍再編見直し 血税で固定化あり得ない

 日米外務・防衛当局の審議官級協議で在日米軍再編に関し(1)約8千人の在沖米海兵隊のグアム移転計画を見直し、約4700人を先行移転する(2)米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画堅持―などの方針を確認した。

 野田佳彦首相は、国会で普天間について「固定化につながらないよう全力で協議する」と答弁。しかし見直し方針は「普天間固定化」そのものだ。日本政府は大多数の民意に背き、米要求に唯々諾々と従う弱腰外交でいいのか。
 今回の見直しを受けて、日本政府は普天間の名護市辺野古移設に向け想定していた手続きを先延ばしする構え。1996年の普天間返還合意以来、県内移設を追求し時間と労力を空費してきた。なお時間稼ぎをするのは浅はかだ。政府が無気力なら、国会が普天間固定化の回避と無条件返還を決議するなど民意を後押ししてほしい。
 今回、日本側は嘉手納基地より南の米軍6施設・区域のうち、キャンプ瑞慶覧と牧港補給地区の一部返還について早期実現を求めた。広大な基地が長年地域振興を妨げてきた経緯からすれば、2施設の返還は加速すべきだ。
 6施設・区域の返還は米軍再編ロードマップ(行程表)に明記された時点で不要な基地と判断されたも同然だ。中国をにらんだ在沖米海兵隊の「抑止力」に疑義が指摘される中、これ以上返還を先送りする合理的理由などあるまい。
 海兵隊のグアム移転見直しに関し、野党側からも「にわかに米軍再編の枠組みが大きく変わることに疑問を感じる」(山口那津男公明党代表)といった指摘がある。
 グアム以外に移転する海兵隊3300人のうち、1500人規模を山口県の岩国基地に移転する案が浮上している。鳩山由紀夫元首相が「最低でも県外」と本土移転を提起した際、抵抗していた日米の官僚がここに来て「岩国移転」を持ち出すのは偽善的だ。
 米側は普天間の使用継続を前提に、補修工事費の負担を日本に要求している。欠陥機とされる垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備の環境整備や、人命・人権の脅威である普天間飛行場の固定化のために、血税を使うべきでない。「世界一危険な基地」がより危険になる。
 首相が日米関係の劇的改善を願うなら、今こそ普天間の県外・国外移設、撤去を決断してほしい。