アセス答申 知事はやり直し求めよ

 最悪の環境影響評価(アセスメント)評価書に、最も厳しい判断が示された。名護市辺野古への米軍普天間代替基地建設に向けた環境アセスメント評価書を審議していた、県環境影響評価審査会は、「生活環境や自然環境の保全は不可能」と答申した。事実上の新基地建設計画の否定だ。

 答申は評価書の内容をことごとく否定している。特に、大浦川と汀間川の魚類相は琉球列島全体でも屈指の多様性を持ち、大浦湾の一部埋め立てで「机上の予想を超えた影響が懸念される」と痛烈に指摘した。
 沖縄本島北部を含む「奄美・琉球諸島」は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産の国内候補地になる可能性が高い。環境省は、ユネスコ暫定リストへの早期掲載を目指す方針を決めた。
 環境省が評価する自然環境良好な地域に、代替施設を建設しようとしている。防衛省は辺野古移設ありきで環境評価を小さく見積もった。答申が評価に値しない「机上の予想」と断じたのは当然だ。
 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備について、アセス最終局面で記載したことや、午前4時という非常識な時間に評価書が県庁に運ばれたことに対し、住民からアセスやり直しの強い要求があったことを指摘した。
 本来の評価書手続きとは、国と県、住民が十分意思の疎通を図り、環境に与える影響を減らす方法を考える作業であろう。防衛省はこうした努力を怠ってきた。
 答申に明言していないが、事実上のゼロ・オプション(何もしないという選択肢)を示したと見ることもできる。
 環境アセス法は2011年に改正された。改正案論議の中で、必ず代替案(複数案)の検討を盛り込み、その中にゼロ・オプションを含めることを義務付けるべきだという意見が出ていた。
 ゼロ・オプションは、米国では必須の提案だ。日本では、最終的に見送られ、条文上は「一または二以上」の検討という、極めて中途半端な内容になった。
 今回の答申は、改正環境アセス法の精神を最大限生かした判断であり、日本の環境アセスの在り方に一石を投じたと言えよう。
 仲井真弘多知事は、答申の趣旨をくんで、知事意見書で、環境影響評価のやり直しを求めるべきだ。