防衛相再来県 空疎な訪問終わりにしたい

 またしても閣僚によるむなしい沖縄訪問が繰り返された。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に理解を得ようと、先月に引き続き田中直紀防衛相が来県したのだ。
 県民の大多数は県外・国外への移設や無条件返還を望んでいる。本来、防衛相が理解を求めるべき相手は、沖縄ではなく野田佳彦首相や米国であるはずだ。

沖縄入りはお門違いであり、公金と時間の空費にほかならない。大臣による空疎な沖縄訪問はそろそろ終わりにしてほしい。
 前回来県した時と異なるのは仲井真弘多知事との会談が、冒頭を除いて報道陣に公開されなかった点だ。率直に意見を交換したいと防衛省側が強く希望した。正々堂々と知事に向き合うことを避けたのは、何かしらやましいところがあるからではないか。「誠心誠意」には程遠い。
 非公開の会談を受け入れた県側の態度も疑問だ。公にできない事柄が話し合われたのではないか-などと痛くもない腹を探られかねない。知事の発言がゆがめられて伝わる恐れもある。県外移設を求める強固な意志を示すには衆人環視の中で対応する方が賢明だ。
 田中防衛相は、嘉手納より南の基地を普天間移設とは切り離し、返還を目指す方針を知事に説明、「沖縄の負担軽減に最優先で取り組む決意だ」と強調した。
 「普天間は固定化しない」とも述べたが、辺野古移設の受け入れが前提であり、額面通りには受け取れない。透けて見えるのは、普天間の返還が不調に終わったときに固定化の責任を沖縄側になすり付けようともくろむ、防衛官僚の思惑だ。
 今回も大臣が理解を求め、知事が県外を要求した。堂々巡りに終わることは最初から分かり切っていた。政府の努力をアピールするための茶番としか映らない。
 閣僚が甘言を弄(ろう)するのは、広大な基地を沖縄に置き続けたい底意があるからだ。そんな大臣たちを歓迎する気持ちにはなれない。
 この後、26日には野田首相が就任後初めて来県する。首相に望むのは、県民の声に真剣に耳を傾けることだ。そうすれば、向き合うべき相手が沖縄ではなく米国であることに気付くだろう。
 政府が「県内移設」の方針を撤回しない限り、多くの県民は納得しない。基地の過重負担は差別以外の何物でもないからだ。