在沖総領事見解 浅薄な基地押し付け論理

 何のために米政府は沖縄に総領事館を置いているのか。レイモンド・グリーン在沖米総領事が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を実現可能とし、東日本大震災の被災地支援と関連し、沖縄に海兵隊が駐留する「地理的優位性」を主張した
 被災地支援での献身的な米兵の働きは多くの国民も認めるところだ。

だが、震災後の米軍側の言動は軍事的思惑を強調するあまり、米国と沖縄の変化に目を背けている。沖縄への基地押し付けをやめない論理に強い違和感を覚える。
 県内移設ノーの民意が強まる沖縄の状況を正確に捉え、本国に伝える役割があるはずの総領事は機能不全に陥っていまいか。
 グリーン氏は、辺野古移設と在日米軍再編が、日本防衛に欠かせない抑止力の維持と県民の負担軽減を両立するとの見方を示した。
 人口が少ない辺野古への新基地建設により、住宅密集地の普天間の騒音が解消されるとする。だが、基地被害の痛みをめぐる「大の虫を生かすため、小の虫を殺す」論理は県内で説得力を失って久しい。
 沖縄の根強い反対を受け、米国議会の有力者から「辺野古は不可能」とする論が強まっている。
 米国の識者から在沖海兵隊の米本国、豪州への移転論が飛び交い、米政府がその分散移転を図る動きを見せている。背景には、中国のミサイルの射程に入る沖縄への海兵隊集中が、抑止力低下につながるとの認識がある。海兵隊の運用に支障がない証左だ。
 グリーン氏の見解には、辺野古移設を「可能」とする論拠や道筋が何も示されていない。
 在沖米総領事館は限られた基地容認派との接点を基に、沖縄全体を基地容認と見立てる傾向があるが、それが災いしている感を受ける。
 福島第1原発事故後、在日米軍の放射線被害を避けた動きには軍の本質が見えてくる。横須賀の原子力空母は長崎県の佐世保基地に退避し、三沢基地の戦闘機は韓国へ、厚木基地の戦闘攻撃機はグアムに散った。いずれも日本を守る主力である。
 復興支援のトモダチ作戦で、マレーシアから駆け付けた在沖海兵隊が東北で支援を始めるまで11日を要したが、災害派遣時の海兵隊の重要性を強調した。日本に恩を売りつつ、米国向けには海兵隊不要論を打ち消す。人道支援に軍事的打算を絡めるべきではない。