玄葉外相来県 非公式会談は得策ではない

 玄葉光一郎外相が来県し仲井真弘多知事と会談した。昨年10月、11月に続いて3度目となる。何度も足を運ぶのは、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の実現に向けて知事を懐柔したいとの意思の表れだろう。

 知事は2010年の知事選で「日米共同声明を見直し(普天間飛行場の)県外移設を求める」と公約している。よもや翻意はすまいが、政府の術中に陥る懸念もなくはない。閣僚との非公式会談にたびたび応じているからだ。
 23日夜には外相と非公式に会談した。同席した又吉進知事公室長は「(嘉手納飛行場より南の基地返還について)沖縄県の要望を踏まえた交渉を行っているという姿勢を示していただいた」と説明した。果たしてそれだけなのか。多忙な大臣が、確たる目的もなしに、一県知事との懇談に時間を割くとは思えない。
 辺野古移設を至上命令と考える外相の関心事は、条件次第で県内移設を容認する余地があるのか、あるとすればどんな条件なのか-という点であろう。嘉手納飛行場より南の基地の先行返還などが条件となり得るかどうかについても感触を探るのではないか。
 現在の状況下で閣僚と会談を重ねるのは、メリットよりもデメリットの方が大きい。知事のちょっとした言葉遣いが「いずれ受け入れる」などと都合よく解釈され、意図しない形で公にされかねないからだ。沖縄は遠からず県内移設を容認するという誤った見方が広がれば、知事が主張する「県外」は一層遠のく。
 知事が外相を取り込んで、「県外移設」へと政府の方針を改めさせることができるなら話は別だが、官僚に左右される大臣が相手ではのれんに腕押しだろう。
 沖縄の大多数の民意は県外・国外移設、もしくは無条件返還だ。知事はその点を肝に銘じ、少しでも疑念を持たれるような行動は慎んでもらいたい。
 24日の公式会談で仲井真知事が「辺野古は事実上不可能。国内(の他の地域)で探した方が早い」と指摘したのに対し、外相は「負担が沖縄にばかり集中しているので全国で分かち合うべきだと国会でも毎回言っている」と述べた。残念ながら、政府は正反対の方向に動いている。外相に望むのは、言葉だけでなく、行動で示すことだ。