アセス知事意見 辺野古断念で決断の時だ

 県は、名護市辺野古への米軍普天間代替基地建設へ向け、沖縄防衛局が作成した環境影響評価(アセスメント)評価書の公有水面埋め立て事業に関する仲井真弘多知事の意見書を同局に提出した。

 評価書に不記載だった1700万立方メートルの埋め立て土砂調達計画の明示を含め、404件の問題点を指摘。2月に提出した飛行場部分の知事意見175件を合わせると問題点は579件に上る。
 この評価書が「科学」と呼ぶに値しないことは、誰の目にも明らかだ。国は手続きを即刻中止し、辺野古移設を断念すべきである。
 知事意見は、評価書に示された環境保全措置では辺野古周辺地域の「生活および自然環境の保全を図ることは不可能」との認識を示し、普天間飛行場の県外移設や早期返還を求めた。当然の判断だ。
 問題点として、埋め立てに使用される土砂の約8割の調達先が未定であることや、絶滅危惧種ジュゴンの生態解析の不十分さを指摘した。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備にかかわらず埋め立て形状に変更がないとした点や東日本大震災を教訓にした地震・津波対策の不備など、事細かに疑問点をえぐり出している。
 野田佳彦首相はじめ閣僚は全員37ページに上る知事意見を熟読してほしい。読めば、国の評価書が世界に恥をさらす代物であることに気付くだろう。それに気付かぬなら、政権を担当する資格はない。
 国のアセス手続きは評価書の補正、県への「補正評価書」提出、公告・縦覧、県への埋め立て許可申請と進む見通しだが、これを続けても時間と労力の無駄だ。
 政府・与党に「県議選や国政選挙の結果次第で知事が翻意し、辺野古移設実現の脈がある」との見立てがあるのなら見当違いだ。
 1996年の普天間飛行場返還合意以来、県内世論調査で辺野古移設が県民の広範な支持を得たことはない。県民の意志が固い以上、県外移設を求める仲井真知事が選挙公約を覆すこともあり得ない。
 県民は、沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中していることや基地から派生する事件・事故によって生命や人権が脅かされている現状を「構造的差別」と捉えている。
 県民は、不平等や差別的な扱いを甘受しない。知事意見で沖縄の意思は鮮明になった。今度は野田首相が辺野古断念を決断する番だ。