嘉手納暫定移設案 固定化へ手を貸すのか

 民主党の石井一副代表ら同党参院議員有志が米軍普天間飛行場について、将来の県外・国外移転を前提に、嘉手納基地やキャンプ・ハンセンへの暫定移設を提言した。
 普天間の「辺野古移設」合意を非現実視する認識は至極もっともだが、嘉手納基地などへの暫定移設を代替案とするのは見当違いだ。

 石井氏は「あくまで暫定的な措置で従来の嘉手納統合案とは違う」と強調し、普天間固定化の回避と沖縄の基地負担軽減のため政策転換が必要だと指摘する。
 しかし、米側が別の県内基地への暫定移設や将来的な県外・国外移設を受け入れる保障はどこにもない。暫定移設は、米政府が一時的に受け入れたとしても、米側の胸先三寸でいつでもほごにできる。議会圧力などで不都合が生じると、同盟国にそのつけを回すのが米外交の常とう手段だからだ。
 交渉が行き詰まっても最低限の実利を常に確保する米外交の習性を考慮すれば、暫定移設案はむしろ海兵隊航空基地の長期固定化にうまく利用されるリスクの方が高いだろう。
 日米は1996年の普天間返還合意以来、沖縄の民意を無視し県内移設を押しつけてきた。非民主的政策決定を沖縄に強要し続けることはあまりにもアンフェアだ。
 嘉手納飛行場一つをとっても、日米両政府は県民の期待をことごとく裏切ってきた。騒音防止協定は形骸化し、嘉手納の爆音被害は改善どころか悪化している。
 米軍再編合意で負担を軽減するとしながら、嘉手納の爆音被害はむしろ外来機の頻繁な飛来で激化した。陸軍のパトリオットミサイル配備、SACO(日米特別行動委員会)合意に反するパラシュート降下訓練実施など嘉手納の負担は増え続けている。嘉手納暫定移設案は常軌を逸し、地元3市町や県民の理解を到底得られまい。
 石井氏は「沖縄の皆さんの協力があれば普天間の早期返還と県外・国外移転は可能だと思う。九州の既存の空港を拡充するなどして、一部施設の国内移転を真剣に検討する時期だ」とも述べる。
 普天間飛行場の危険性や嘉手納の爆音被害の深刻さを理解しているのなら、暫定移設と悠長に構えている場合ではない。県民が望む普天間の県外・国外移設、無条件の閉鎖・返還に向け、直ちに行動を起こすのが政治家の使命だ。