オスプレイ配備 沖縄への無理解際立つ

 いつ人にかみつくか分からない猛犬がいる。「別の場所で一時飼い慣らした後に連れてくるから大丈夫」と言われても、かみつかない保証はない。「連れてきていいよ」と受け入れる人はいまい。

 米海兵隊が7月にも、普天間飛行場に配備を計画しているMV22オスプレイをめぐり、藤村修官房長官が「沖縄に配慮した形で、本土で先行運用するよう指示している」と述べた。
 オスプレイの危険性は本土に先行配備しようがしまいが、何も変わらない。これを「配慮」と受け取る県民はいない。
 本土復帰40年を機にした最新の世論調査で、県民の9割がオスプレイ配備に反対した。本土での先行運用によって、県民が反対を覆すと考えるのは浅はか過ぎる。
 「配慮」発言は、むしろ沖縄の民意への「無理解」をさらけ出す本末転倒の論である。
 開発段階から墜落事故を繰り返してきたオスプレイは、4月11日にもモロッコ軍との訓練中に墜落し、海兵隊員2人が死亡した。
 その事故の原因究明もなされないまま、米軍は飛行停止措置も取らず、沖縄配備に突き進む。日本政府は安全性の検証さえ尽くさず、安全と言い張る米軍の説明をうのみにして思考停止を続ける。主権国家として情けない。
 ヘリコプターと固定翼機の機能を併せ持つオスプレイには重大な欠陥が指摘されている。
 ヘリはエンジンが止まった緊急時には、機体が降下する際の上昇気流を利用して回転翼を回し、比較的緩やかに着陸できる機能(オートローテーション、AR)がある。
 米国防長官を支えるNPOは2003年、機体が重いため降下が速いオスプレイのARの検証データについて、「恐ろしい降下率で、地面にたたきつけられることを示す」と報告していた。
 米国の専門家は高度約490メートル以下でエンジンが止まれば、墜落につながると警鐘を鳴らしている。市街地の普天間で運用するには、危険過ぎる機種であることは間違いない。
 国民の生命・財産を守る責務がある政府は、国内全ての地域への配備そのものに反対すべきだ。
 野田佳彦首相、玄葉光一郎外相、田中直紀防衛相は、本気で住宅密集地上空でのオスプレイの飛行を認めるのか。永田町・霞が関、新宿や銀座の繁華街の上空でも飛行を許せるのか、と問いたい。