オスプレイ配備/冷酷無比な全域飛行 県民の決意示すときだ

 安全性への重大な懸念がぬぐえない米軍機が、沖縄本島のほぼ全域を飛び交う計画の全貌が姿を現した。沖縄を起点に本土の基地での運用も盛り込まれた。
 米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に向けた、在沖海兵隊の環境審査書の内容は安全性を担保するどころか、データを恣意(しい)的に用い、県民を欺くすり替えが随所にうかがえる。基地問題に付き物の情報隠しがまた繰り返されている。

 環境や安全性への影響を過小評価する結論ありきの文書は到底信用できない。オール沖縄に近い反対のうねりに背を向けた傍若無人の配備強行が一層鮮明になった。

負担増の疑念
 米軍の説明をうのみにするメッセンジャーと化した日本政府には、国民の生命財産を守る気概のかけらも感じられない。
 環境審査書で、県内の「母基地」とされる普天間飛行場の運用実態を見ると、現行機種のCH46中型輸送ヘリコプターに比べ11%運用回数が減ると強調するなど、「負担増」を否定している。
 だが、基地外では、うるささ指数が環境基準値を超える地域の面積が配備後に大幅に増える。さらに、住民生活をかき乱す夜間運用回数がオスプレイは204回あり、CH46の3・6倍となる。逆に負担増の疑念が増すばかりだ。
 CH46が飛ぶ伊江島補助飛行場や北部訓練場、キャンプ・ハンセン、シュワブの計50の着陸帯に飛行する計画となっている。山間部の北部訓練場は、実戦を想定した低空飛行が常態化する。
 伊江島補助飛行場での運用回数は、CH46の2倍以上に上る6760回に増えることが補助資料で判明した。審査書概要版はこの数字を伏せ、滑走路を空母に見立てた陸上空母離着陸訓練(FCLP)を年間2500回実施すると記載するにとどめている。
 さらに、激しい爆音が住民生活を寸断している空軍の嘉手納基地にも、オスプレイが年1200回飛来することになる。
 2度にわたる嘉手納基地爆音訴訟は、忍耐の限度を超える騒音を違法とする判決を引き出した。
 昨年4月には、全国最大の2万2千人を超える超党派の原告が第3次訴訟を起こし、騒音被害の改善や墜落の危険性除去を求める営みが大きな広がりを見せている。
 その嘉手納基地にオスプレイを平然と離着陸させることは、爆音に苦しむ住民や原告団への挑戦にほかならない。周辺3市町の首長、住民がこぞって反発するのは当然だ。

欠陥指摘に目背ける
 オスプレイの安全性には、米国内からも疑問符が突き付けられている。エンジン停止時に回転翼が風圧で自動的に回り、揚力を得て着陸する「オートローテーション(AR)機能」を持たない。米国の国防分析研究所元主任分析官レックス・リボロ氏は「安全性に深刻な穴がある」と指摘し、 危険性に懸念を示す米議員は調達中止を要求している。
 だが、防衛省が作成したオスプレイの小冊子は、こうした指摘に全く触れず、エンジン停止時にはAR機能を用いると記す。米国の第一人者が指摘する危険性に、意図的に目を背けている。
 配備反対をアピールする17日の宜野湾市民大会に、仲井真弘多知事は出席を見送ったが、県民大会ならば参加する姿勢を見せている。翁長雄志那覇市長は県民大会を開いて沖縄の声を発信することも選択肢と発言した。
 オスプレイ配備反対は、95%の市町村議会が反対決議するなど、沖縄全体の民意となって久しい。
 生命・財産を守りたいという最低限の叫びさえくみ取ろうとしない日米政府の蛮行に歯止めをかけるため、「県民大会」の開催を直ちに検討すべきだ。
 新たな構成となった県議会などが軸となり、日米両政府の非人道的行為を国内外に強くアピールするときだ。