普天間低周波音 人権蹂躙を放置するな

 米軍普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校で、静穏であるはずの教育環境が破壊され、児童らの健康がむしばまれている実態がまた一つ科学的に明らかになった。

 琉球大学の渡嘉敷健准教授(環境工学・騒音)が今年4月、第二小の教室の窓を閉めて測定した米軍ヘリコプターの飛行に伴う低周波音の一部が、防衛省が普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)で、低周波音の評価の基準とした閾値(いきち)を上回った。
 ヘリ独特の低周波音については、普天間爆音訴訟の高裁判決でも心身への健康被害が生じると認定されているが、これまで定期的な測定はなされていないというから驚きの一語に尽きる。
 防音対策は沖縄防衛局が一義的に責任を負うべきだ。防衛局は県、市町村と連携し、低周波音を定期的に詳しく測定し結果を公表する仕組みを構築してもらいたい。並行して、子どもたちだけでなく周辺住民の健康を守る対策が急務だ。
 第二小では、CH53の飛行により、周波数20ヘルツで90・9デシベル、25ヘルツで93デシベルを計測。防衛省のアセスで、窓ガラスがガタガタするなど「物的影響」の基準とした閾値(20ヘルツで80デシベル、25ヘルツで83デシベル)を大きく上回った。
 周波数25ヘルツでの93デシベルは、アセスで「心理的影響」の基準とした閾値(88デシベル)も超えており、圧迫感のほか、頭痛や吐き気を引き起こす可能性があるという。
 恒常的に授業が中断される第二小の教室内では、同じ琉球大の調査で、車のクラクションを間近で聞くような爆音(105デシベル)が計測されており、過酷な実態が科学的に証明されている。
 今回の低周波音による被害の確認は、児童らの精神的、肉体的な負担が限界に達しつつあることを浮き彫りにしたと言える。
 常に米軍機墜落の危険にさらされ、違法な水準にある爆音や低周波音が断続的に降り注ぐ。人権蹂躙(じゅうりん)にも等しい教育・生活環境は許されない。劣悪な環境を放置し続けてきた日米両政府の責任は極めて重大だ。
 こうした中、欠陥機の疑いが濃厚で従来ヘリより低周波音が大きいとされるMV22オスプレイ配備など論外だ。県民はこれ以上の人権蹂躙は決して許さない。日米両政府はオスプレイ配備を強行するのではなく、普天間飛行場の閉鎖・返還に全精力を注ぐべきだ。