ウミガメ調査 恥ずべきデータ隠しだ

 これは、あまりにひどい。よくも「環境保全上、特段の支障はない」と言い放ったものだ。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画で、沖縄防衛局が昨年末県に提出した環境影響評価(アセスメント)の評価書。絶滅の恐れがあるウミガメについては「移設で消失する海浜はウミガメの上陸に適していない」としていたが、一方で防衛局は、ウミガメが辺野古の移設予定地に頻繁に上陸してることを確認していたというのだ。

 防衛局が辺野古周辺で実施した海の生物に関する調査報告書を、共同通信が情報公開請求で入手し明らかになった。辺野古海岸での2011年5~8月の調査で、アカウミガメやアオウミガメの上陸跡を計57件確認。このうち13件(23%)は移設予定のキャンプ・シュワブ沿岸とその周辺で見つかり、報告書は「上陸数が多かった区域」と位置付けていた。
 アセスの際も同じ範囲を調べたが、07年6~10月は上陸跡がゼロ、08年3~10月は全体の8%で、ウミガメの上陸適地は別としていた。これを基に、基地移設による影響は限定的と結論付けたのだ。
 これは明らかに「いいとこ取り」ではないか。ウミガメのアセス対象期間は07~08年、海の生物調査は対象期間後というずれはある。だからといって「アセス対象期間外だから問題ない」と釈明するのなら、詭弁(きべん)以外の何物でもない。ウミガメ保護の根幹に関わる貴重なデータを無視するような扱いが、許されるわけがない。防衛局は即刻、調査内容を公表すべきだ。
 移設推進に都合の悪いデータは隠しておきたかったというのが真相ではないか。そう疑われても仕方あるまい。そもそも、今回のアセス評価書に関しては、その科学的信頼性に多くの疑問が示され、専門家の間からは「史上最悪」との批判も出ていた。今回の恣意(しい)的とも言えるウミガメ調査の扱いで、辺野古アセスの欺瞞(ぎまん)性は一層強まった。
 評価書に対する「生活環境および自然環境保全は不可能」との知事意見を受け、防衛省は評価書の補正作業を進めているが、欠陥品を取り繕うような無駄を重ねないためにも、政府は辺野古移設そのものを早期に断念すべきだ。
 「隠蔽(いんぺい)体質」と言われる防衛省の責任は重い。今回のウミガメ調査も含め、国会でもしっかりと辺野古アセスを追及してほしい。