F22暫定配備 米国に飛来中止を求めよ

 米空軍は、飛行中に低酸素症に似た症状を訴える操縦士が相次ぎ、運用を制限していたF22ステルス戦闘機12機を28日ごろから、6カ月間、嘉手納基地に暫定配備する。

 2007年以来、数カ月単位の暫定配備は今回で6度目を数える。そのたびに爆音が激化し、基地周辺住民の生活をかき乱してきた。
 米軍普天間飛行場に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行に突き進む日米政府への反発が渦巻く中、F22の配備は沖縄社会の負担感を一層強めることになる。
 周辺自治体の猛反発は当然である。地元の声に耳を傾け、政府は今からでも暫定配備中止を米側に働き掛けるべきだ。
 F22は10年11月に米アラスカ州で墜落した。体調不良を訴える操縦士が相次いだことから、酸素発生装置に不具合があるとして、11年5月から4カ月半、全機の飛行が停止された。
 4月には、一部パイロットが搭乗免除や他機種への配置換えを希望する異例の事態が生じた。米国防総省は、異常が発生した場合、すぐに着陸できる飛行場の近くでの運用に限定していた。
 F22の安全性には深刻な疑念が付きまとう。
 国防総省は操縦室の酸素供給システムを改善したとする一方、防止策は完了していないとし、今秋までに完了して全面運用するという。嘉手納暫定配備は、飛行制限撤廃に向けた実験飛行に映る。
 民間機に比べ、戦闘を想定した過酷な飛び方を強いられる戦闘機の不備が完全修復されていないのに、深刻な騒音被害が続く嘉手納基地に臆面もなく12機も暫定配備する無神経さが際立つ。
 嘉手納基地の総離着陸回数(11年度)は3万5960回のうち、外来機が1万620回と約3割を占めている。本土の航空自衛隊基地へのF15戦闘機の訓練移転の効果が乏しいまま、外来機の飛来、暫定配備が常態化すれば、負担軽減は名ばかりになる。
 米側の意向に従い、配備を容認する日本政府は、沖縄の民意に背を向けている。沖縄への本格配備前の岩国基地へのオスプレイの一時駐機、試験飛行と通ずる、軍事最優先の構図だ。
 米国の一部識者は、中国への抑止力強化を名目に嘉手納基地へのF22の常駐を主張する。暫定配備が嘉手納基地の機能強化につながらないよう、警戒を強めたい。