調整音計測せず こんなアセスは無効だ

 手続きはこれ以上、先に進むことなどできないはずだ。沖縄防衛局の普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)のことだ。防衛局は評価書で航空機騒音のW値を自ら定めた通達に従わず過小評価していただけでなく、通達で「継続時間補正」として含めるべきエンジン調整音をそもそも計測していなかった。

自ら定めた決まりごとを踏襲していないのだからアセスの手続きは無効だろう。
 沖縄県知事は評価書の前段階の準備書に対する知事意見で「ホバリング(空中停止)やエンジンテストの予測に当たっては、時間帯ごとの発生回数、騒音継続時間についても示すこと」を求めていた。ところが防衛局は評価書で「常時ホバリングやエンジンテストを実施しているとの想定で(予測を)行っているため、時間帯ごとの発生回数、継続時間などの条件設定はしていない」との見解を示しただけで、十分に答えなかった。
 このことに県は評価書の知事意見で「ホバリングやエンジンテストの時間帯ごとの発生回数、騒音継続時間が不明である」と再び明示を求めたが、防衛局は計測すらしていないのだから示すことができないのは当然だ。あまりにも不誠実な対応と言わざるを得ない。
 またエンジン調整音を計測していないことについて防衛局は琉球新報の取材に「現行の『環境基準』においては評価の対象としていないため」と説明している。
 しかし「環境基準」は民間空港について定めた別の制度だ。軍用飛行場に多く発生するホバリングやエンジン調整などの騒音を重み付けした算式の継続時間補正を求めているのは、そもそも防衛局の当時の上部組織である防衛施設庁が定めた通達だ。組織の方針をないがしろにした回答をする防衛局の説明は支離滅裂で理解できない。
 エンジン調整音は測定不可能なのだろうか。防衛局は現在、普天間飛行場の滑走路両端付近の家屋に自動騒音測定装置を設置している。この装置を米軍がエンジン調整を実施する駐機場付近に設置すれば計測できると専門家は指摘している。これでは職務怠慢というほかない。
 この環境影響評価作業はほかにも数多くの問題点が指摘されている。防衛局は本来アセスを白紙撤回するのが筋だが、少なくともエンジン調整音を計測した上でアセスの作業を一からやり直すべきだ。