民間地で銃口 何を標的にしているのか

 構えたライフルの銃口の先にいるのは無防備の県民、国民だ。一体、世界最強の米軍の兵士は何を守るために銃を向けたのか。
 宜野座村松田区潟原で、米海兵隊の水陸両用車が国道329号を横切る際、米兵4人が歩道の草むらでうつぶせになり、国道側に銃を向けた。水陸両用車に乗っていた米兵も銃を水平に構えた。
 現場は純然たる基地外だ。重装備の米兵が乗る水陸両用車を誰が襲うのか。児童生徒が通り掛かっていれば、言い知れぬ恐怖感を抱いたはずだ。

 日米地位協定の定めでも、基地外で銃を向ける権限などない。
 米軍は駐留地の住民に好感をもってもらうため、「良き隣人」政策を推進し、兵士らに基地外で紳士的な行動を取るよう促してきた。
 だが、公務である訓練中に基地外で通行する県民らを不審者扱いし、すぐに射撃できる威圧的な態勢を取る。軍事優先の牙をむき出しにし、基地と民間地域を峻別(しゅんべつ)する意識さえ働かせることができない。「良き隣人」政策が機能せず、統制が取れていない表れだ。
 「住民が基地に入れば、逮捕される。米軍は基地があるにもかかわらず、民間地域ではやりたい放題だ」。当真嗣信松田区長が吐き捨てた言葉が核心を突いている。
 名護市辺野古のキャンプ・シュワブを起点に訓練することが多い水陸両用車は、潟原の海岸に上陸した後、斜面を上って国道を横切り、キャンプ・ハンセンに入る。
 潟原では2007年にも、水陸両用車の周辺で顔面に迷彩色のペイントを施した米兵が歩道の茂みで軽機関銃を構える事態があった。
 宜野座村議会が抗議決議し、当時の麻生太郎外相は「住民に不安を与え遺憾だ」と述べ、米軍に再発防止を求めていた。
 今年2月には、浦添市の牧港補給地区内の国道58号沿いの地点で、腹這いになって銃を構え、同基地司令官が浦添市長に謝罪したことは記憶に新しい。同様な行為が歯止めなく繰り返されている。在沖海兵隊内で、県民に不安と不信を抱かせる行為の問題性を共有するシステムが欠落していると指摘せざるを得ない。
 沖縄防衛局、外務省沖縄事務所にも、米軍に実効性のある対応を取らせることができなかった責任がある。民間地で米兵が銃を持つこと自体、やめさせるべきだ。
 政府は厳しく抗議し、米軍に再発防止を誓わせてもらいたい。