沖縄戦民間被害訴訟 軍民格差の理不尽正せ

 沖縄戦で被害を受けた民間人や遺族ら40人が、国を相手に1人当たり1100万円の損害賠償と謝罪を求め那覇地裁に提訴した。
 戦後67年たっても癒やされぬ心の傷を抱えながら、国の援護政策を正そうと立ち上がった、原告の思いを重く受け止めたい。

 国は戦後、軍人や軍属、準軍属に「戦傷病者戦没者遺族等援護法」に基づき、総額52兆円を超える恩給や補償を支給した。米軍の空襲被害などを受けた各地の民間被害者は補償されてこなかった。
 訴状によると、沖縄では県の推計で一般住民戦死者を9万4千人とした場合、戦傷病者戦没者遺族等援護法が適用された5万5千人を除く、4万人近い住民が補償を受けていないという。
 補償に軍民格差をつけるのは憲法の「基本的人権の尊重」や「法の下の平等」にもとり、理不尽だ。
 民間被害者らが起こした全国各地の国家賠償訴訟で、裁判所は「戦争の損害は、国の存亡に関わる非常事態の下では、等しく受忍しなければならなかった」とする「受忍論」により、原告側の訴えを棄却してきた。裁判所に「人権の砦(とりで)」の役割は期待できないのか。
 2009年12月の東京大空襲訴訟の東京地裁判決は、請求は棄却したが「立法を通じて解決すべきだ」と指摘。同判決後、超党派の国会議員が民間被害者救済の立法へ動いているのは一定の前進だ。
 沖縄の裁判は、国や軍の不法行為を問う初めての集団訴訟となる。沖縄戦で軍隊は住民を守らなかった。旧日本軍が住民を「集団自決」(強制集団死)に追い込んだり、虐殺したりした歴史的事実を、県民は決して忘れない。
 訴状では、米軍の攻撃が予見された首里地区への司令部構築や、米軍との戦闘拠点として全島各地に陣地を構築したこと自体が国民保護義務に違反するとした。法的根拠を欠いた県内男女学徒の戦場動員を「沖縄戦における住民保護義務違反の最たるもの」とした。
 また、島を要塞(ようさい)化し、国際法で認められていた非武装地帯を設けず、住民の生命や身体を守らなかったことが、戦闘方法における安全保護義務違反だとしている。
 この裁判は深い悲しみ、苦しみに耐えてきた全ての戦争体験者や遺族が原告ともいうべき重要な裁判だ。裁判所には丁寧な審理と、踏み込んだ判断を期待したい。