米兵わいせつ事件 根絶の近道は海兵隊撤退

 強制わいせつ致傷の疑いで21歳の在沖米海兵隊員が那覇署に緊急逮捕された。那覇市の住宅街を歩いていた40代女性を背後から引き倒し、わいせつ行為をしたという。
 警察の調べに容疑者は「倒れていた女性を介抱していただけ」と容疑を否認している。わいせつ行為が事実なら卑劣極まりない。当然日本の裁判で厳正に裁くべきだ。
 女性は全治1週間の頭部打撲も負った。恐怖は察するに余りある。関係機関は連携して、被害者への十分なケアに努めてもらいたい。

 在沖海兵隊基地では2010年10月以降の1年間の性的暴行事件が67件に上り、発生率が米国内の基地の2倍の高さであることが、この7月に米海軍省と海兵隊本部の報告書で判明したばかりだ。
 しかも米国防総省の調査で性的暴行の8割が申告されていないとの指摘があり、公表された数字も明らかに氷山の一角だろう。
 復帰後の米軍関係の刑法犯は5747件(11年12月末現在)に上る。米国が唱える「良き隣人」政策とは裏腹に、多くの県民が米兵犯罪におびえる。事件の度に「おわび」と実効性のない「再発防止策」を聞かされる。犯罪との共生はご免だ。「抑止力」をうんぬんする前に兵士の犯罪こそ抑止すべきだ。
 05年に起きた米兵による小学女児強制わいせつ事件について、駐日米大使館のケビン・メア安全保障課長(当時)が「軍隊ではなく、個人の問題だ」と述べた。これが米政府当局者の共通認識というのなら忠告する。「個人の問題」とするのは正義に反し、外交官や軍の堕落以外の何物でもない。
 米軍が駐留する限り、犯罪は起こる。米兵犯罪を個人の問題とし、規律の乱れや力で相手を屈服させる軍人気質の絡む構造的問題と捉える発想がなければ、犯罪の根絶どころか抑制すら不可能だろう。
 県内では、今回の事件を軍の構造的問題と捉える見方が強い。沖縄人権協会の永吉盛元事務局長は「綱紀粛正しても基地がなくならない限り、犯罪は絶えない」とし、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表も「オスプレイ配備同様、米兵の駐留自体が危険」と指摘する。
 換言すれば、在沖海兵隊こそが日米関係にダメージを与えている。県民の生命と人権を守るため、オスプレイ配備の中止と全面的な海兵隊撤退を真剣に検討するときだ。