尖閣上陸合戦 抑制的対応で解決図れ

 目には目を、歯には歯をという行動が一体何を生み出すのか。
 沖縄県土であり、日本が固有の領土として実効支配する尖閣諸島をめぐり、日本と中国の領土ナショナリズムをあおる動きが過熱している。重大な懸念を表明したい。
 香港の活動家らが魚釣島に上陸したことに対抗し、東京都議ら地方議員10人が上陸した。

 中国政府の抗議を受けた日本政府は「全く受け入れられない」とはねつけた。
 その一方、日中両政府は、国民同士の反感が高まることは友好と経済関係に影を落とすとして、冷静な対応を取ることで一致した。
 中国では反日デモが起きた。領土をめぐる世論がいたずらに先鋭化することを避けるためにも、日中両政府は話し合いによる抑制的な対応を貫くべきだ。声高に領有権を主張する勢力と一線を画すことは当然である。
 国の許可を得ずに強行した地方議員らによる尖閣上陸は唐突で、冷静な対応を願う大多数の県民は、迷惑千万とみなしているだろう。
 超党派の議員連盟などの一行は、太平洋戦争末期に疎開船が米軍の攻撃に遭った尖閣諸島遭難事件の洋上慰霊祭参加を目的としていた。
 「領土を守るため」という一部の議員らの行き過ぎた行動は、事件の犠牲者を静かに慰めたいという遺族会への配慮を欠いている。
 遺族に寄り添うのなら、遭難事件犠牲者らの国家補償に向けた行動を起こすことが先決ではないか。議員らの行動は、慰霊祭の政治利用にほかならない。
 両国の国民は日中対立が何の利益も生まないことを冷静に見極めたい。双方に再び上陸の動きが出て、国同士の対立に発展することは何としても避けねばならない。
 香港の活動家は10月にも再上陸する意向を示し、尖閣諸島の購入を計画する東京都は政府に上陸申請を出した。上陸の応酬となれば、武力による偶発的な衝突を招きかねず、無謀かつ無責任な行為だ。
 中国共産党機関紙・人民日報系の国際情報紙「環球時報」は「中日が全面戦争で釣魚島(尖閣諸島)問題を解決しようとするのはばかげている。ほとんどの国民は望んでいない」と冷静な対応を呼び掛けている。
 日中政府は、当面は誰も上陸させない対応を強め、武力とは完全に一線を画した外交交渉による解決に力を注いでもらいたい。