防衛省分析評価 「人為的ミス」はまやかし

 果たしてこれで機体に問題はなく、人為的ミスだと言えるのだろうか。米側から提供を受けたモロッコでの垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故の調査報告書について、防衛省などが分析評価した報告書が公表された。
 「副操縦士の人的要因が大きく、機体自体に要因が認められない」と結論付けているが、飛行マニュアルの記載不足や離着陸時にコンピューター制御が作動しないことも判明しており、事故が人的要因で片付けられないことは明らかだ。

 今回の事故は副操縦士が離陸に回避すべきとされている追い風の中に機体を置き、十分な速度のないまま回転翼を規則で禁止されている以上の角度で前方に傾けたことが墜落要因とされている。
 しかし米軍の報告書では「飛行マニュアル内に追い風の中での離陸から巡航への移行に関する参照事項をほとんど見つけられなかった」と指摘し、今後は明確に規定するよう改善を提言している。マニュアルの指示内容が不十分だと事実上認めており、政府の分析評価で、なぜ事故を誘発した要因に含めていないのか理解に苦しむ。
 コンピューター制御にも空白部分があることが分かった。オスプレイは本来、高度なコンピューター制御で回転翼を傾ける角度が速度に応じて決まっており、操縦士は自らの意思でその範囲を超えて傾けることは不可能なはずだった。
 しかし今回の事故では、副操縦士がマニュアルで禁止されている角度を超えて回転翼を傾けていた。コンピューター制御で不可能な事態がなぜ起きたのか。日本側が米側に尋ねると、離着陸時には意図的に禁止角度まで回転翼を傾けての飛行を実施する必要があるため、コンピューター制御を解除しているという。驚くべき場当たり的対応だ。
 オスプレイの墜落事故の大半は離着陸時に集中しており、コンピューター制御という最先端の技術が事故の集中する飛行形態時に発揮されないとなれば、欠陥機と言われても仕方ない。人為的ミスに加え、人為的ミスに脆弱(ぜいじゃく)な運用形態がまかり通っていることこそ問題だ。
 森本敏防衛相は29日に来県し、仲井真弘多知事に分析評価を直接説明するようだ。この結果を基に「機体は安全だ」として普天間飛行場への配備を説得するつもりなら、大間違いだと指摘せざるを得ない。