防衛相説明 安全の空証文はいらない

 米軍普天間飛行場への海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備は、紛れもなく県民の命を脅かす切迫した問題である。

 実態が伴わない空証文を引っさげて、安全だと強調されても、信じようがないのが県民感情だ。
 4月にモロッコで起きたオスプレイの墜落事故をめぐる日本側の分析チームの報告を携え、森本敏防衛相が仲井真弘多知事や佐喜真淳宜野湾市長らと会談した。
 森本氏が人為的ミスが事故原因で、機体に問題はないとする検証結果に理解を求めたのに対し、仲井真知事は「今の時点で受け入れ難い」と述べ、佐喜真市長は「事故が起きた現実は変わらず、配備は反対だ」と強調した。
 オスプレイが訓練飛行する16市町村の代表からは、「事故が起きないと保証できるか」などと厳しい反発が噴き出した。
 全県挙げて反対する沖縄社会に背を向け、配備を見直す姿勢を見せない森本氏に接点は見いだせない。苦虫をかみつぶしたような森本氏の表情が象徴していた。
 問われているのは日本政府の主体性のなさだ。日本政府の“独自検証”が、米政府の事故調査と寸分たがわぬ結論になったことで追従姿勢が一層鮮明になった。
 主権者である国民を危険にさらす機種の配備に向け、米側は航空機事故の原因究明ではあり得ないほどの短期間で「操縦士のミス」と結論付けた。米側がもくろむ10月の普天間配備強行のスケジュールに沿った「出来レース」(翁長雄志那覇市長)そのものだ。
 モロッコでの事故は、離陸時にヘリ仕様から固定翼仕様にエンジン部分を傾けている最中に、秒速8~14メートルほどの風を受けて、バランスを崩して墜落した。
 墜落につながった風を防衛省は強風とするが、8~14メートルの風は、県内では頻繁に計測される風速だ。普天間周辺や県内の飛行経路でいつ事故が起きてもおかしくない危うさが増した。
 森本氏は、従属的な姿勢を改めるべきだ。歴史的な使命感を持って米国と配備見直しの再交渉に入る自らの責務を自覚してほしい。
 仲井真知事は今回の会談で、配備反対のトーンを弱めた。市町村長らと落差が生じ、憶測を呼びかねない。強行姿勢を改めない政府にあらがうには、沖縄側の一貫した姿勢が欠かせないことを知事は肝に銘じてほしい。