事故分析評価 人為的でなく組織的ミスだ

 この墜落事故は「人為的要因」というよりも、米軍という「組織的要因」が引き起こしたものといった方が適切だ。今年6月にフロリダで起きた垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの墜落事故のことだ。
 日本政府が公表した分析評価報告書と米空軍事故調査委員会報告書の双方とも「機体に不具合はなく人的要因」と結論付けているが、報告書にはさまざまな複合要因で引き起こされていた事実が記されている。

 事故は2機編隊で飛行中の後続機が前方機の後方に近づき、エンジン排気で発生する後方乱気流で揚力を失って墜落した。しかし操縦士が訓練で使う模擬飛行装置では後方気流による影響が再現されていなかった。再現すべき影響を再現していない欠陥装置を使って訓練がうまくいったからといって、それに何の意味があるのか。
 また飛行手引書には後続機が前方機との間に取るべき安全な最低距離が明記されていなかった。後方での影響を示す記述の関連も約114メートルまでしか図示されてない。しかし事故機は114メートルの2倍以上離れた場所で後方乱気流に巻き込まれていた。114メートルという手引書の記述について、米側報告書が「誤った安心感を与えかねない」と指摘したことが現実に起きた。この責任は誰が取るのか。
 後方乱気流で揚力を失った場合の回復手順を示す公式な手引書が存在していないことも判明した。こんな、ないない尽くしの手引書をうのみにして墜落回避の訓練をしたとしても安全性を担保できるはずがない。米軍組織の不十分な対策が事故を招いたとしか思えない。
 事故誘発の最大要因として機長と副操縦士の双方が機体の位置を誤って認識していたことを挙げている。しかしこの機長は「上級操縦士」の資格を持ち、日本側も「自衛隊の技能評価基準と照らし合わせても上級レベル」と評価している。熟練操縦士が認識を誤れば墜落するのなら、誰が操縦しても事故を起こす機体ではないか。
 森本敏防衛相から報告を受けた仲井真弘多知事が「人為的だから安全であるとはならない。若い海兵隊が訓練すれば人為的ミスがしょっちゅう起こる恐怖すらある」と反論したが、まさに正論だろう。
 もはや奇弁を弄している場合ではない。沖縄での最悪事態を回避するために、日米はオスプレイの配備断念をただちに決断すべきだ。