防衛相発言 適格性に疑念が湧いた

 「大砲と水鉄砲を比べるようなものだ。辞任して評論家や学者に戻ったらいい」。中部市町村会長の儀間光男浦添市長の言葉に県民の思いが凝縮されていよう。

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが米国で緊急着陸したことに関し、森本敏防衛相が仲井真弘多知事との会談で、警告灯が付いた車を道路の路肩に止めることに例えた。
 仲井真知事は発言を遮ってたしなめたが、森本氏はさらに、宜野湾市での会見で、緊急着陸を天気が悪い時に自転車を押して歩くことになぞらえた。いずれも緊急着陸したオスプレイの安全性を強調する中での失言である。
 “路肩停止”発言の問題性を突く記者の質問に対して、あえて自転車を持ち出して追い打ちを放った。県民を愚弄(ぐろう)している表れだ。
 米軍が危険を未然に防ぐ「予防着陸」と言い張っても、地上に住む住民にとっては不時着でしかない。上空から不意に降りてくる軍用機は遮りようがない。
 一歩間違えば瞬時に不特定多数の人々の命を奪いかねない軍用機のトラブルと、車や自転車の不具合を同列で論じ、危険性を矮小化して恥じない感覚にあきれ返る。
 あまりに軽く、あまりに非常識で、人ごとの論理が過ぎないか。
 民間から防衛相に就いた森本氏は、野田佳彦首相から、難しい安保の問題を分かりやすく国民に伝える役回りを期待され、三顧の礼で迎えられた。
 分かりやすく例えたつもりだろうが、墜落事故の相次ぐオスプレイが頭上を飛び交うことに危機感を募らせる基地の島の民の痛みや、不安に対する想像力が、決定的に欠落している。
 日本の安全保障を担う防衛相は、米軍や自衛隊の軍事運用と住民の安全を両立させる責務がある。住民に背を向けた森本氏には、防衛相としての適格性に重大な疑念が湧く。市町村長や県民から辞任や罷免を求める声が上がるのも当然だ。
 10万人超が結集し、オスプレイ配備撤回を求めた県民大会のわずか2日後の無神経な発言に驚く。
 今後、森本氏の言葉に耳を傾ける県民はいないだろう。沖縄と交渉する当事者能力も失いつつある。
 県民大会の民意を背に仲井真知事は会談で、配備は「無理だ」と強調した。配備計画を見直さない限り、沖縄の不信は解けない。森本氏の再来県も御免被りたい。