試験飛行を強行 落ちない保証にはならぬ

 とうとう飛んでしまった。普天間飛行場に配備が予定されている米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが一時駐機されている山口県の岩国基地で試験飛行が強行された。
 県民大会で10万3千人が反対の意志を示してから、わずか12日後だ。この国は住民の声に耳を傾けることより、米国の言うことに従う植民地なのか。まともな民主主義国家とは到底思えない。

 試験飛行が強行されたのは森本敏防衛相と玄葉光一郎外相が19日に発表した「安全宣言」が根拠となっている。防衛省が同時に発表した資料を読んでみると、これで一体どうして安全だと言えるのかと強い疑問が湧き起こる。
 エンジンが停止した場合に回転翼の揚力だけで着陸するオートローテーション(自動回転飛行)機能について「MV―22は回転翼と比較すれば降下率は高く機体損傷の可能性は排除されないものの、オートローテーション機能は有していることを確認」と記している。
 しかし資料には高い降下率によって「着地した時は時速130キロ」とある。自動車の衝突事故なら、この速度は激突だ。墜落と呼ぶほかなく、元主任分析官も「着地時の速度が速ければ助かる可能性は低くなる」と本紙に答えている。これで安全などとどうして言えるのか。虚構以外の何物でもない。
 米軍は自動回転飛行を模擬訓練でしか実施していない。関係自治体首長に体験搭乗が呼び掛けられていることに、翁長雄志那覇市長は自動回転飛行を実機訓練で実施するのなら森本防衛相とともに搭乗すると明言した。翁長市長の指摘を待つまでもなく、「安全宣言」を行った防衛相と外相は身を持って搭乗し、自動回転飛行を実機訓練で体験する用意はないのだろうか。
 森本氏は23、24日に来県して知事や県内の関係首長と面談し、政府の安全確保策を説明する予定だった。しかし県側が試験飛行の強行を理由に延期を求めた。県民感情からすれば県の要求は当然だ。聞く耳を持たない防衛相はオスプレイと同様に、沖縄にとっては“招かれざる客”であることを自覚してもらいたい。
 仲井真弘多知事が安全確保策について「全てが米軍の意のまま。経験から言えばあんまり守られないことが多い」と批判した。同感だ。政府は試験飛行を即座に中止し、沖縄配備を断念すべきだ。