アセス有識者報告 時間と税金浪費する茶番劇

 時間と税金を浪費するだけで、移設ありきの茶番劇とあきれるほかない。
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴う環境影響評価(アセスメント)に関し、防衛省が評価書補正を検討するために設置した有識者研究会は、中間報告書を森本敏防衛相に提出した。

 現地調査について「細部にわたり、非常によく実施されている」と評価した上で、影響の評価については「抽象的な表現が多く根拠が明確でない部分がある」と指摘し、影響の程度の定量化など見直しを提言した。
 表向きは第三者委として客観性を装ってはいるが、科学的、専門的な知見から詳細な検討が加えられたとは、にわかに信じ難い。現地調査などアセスの全面的なやり直しは想定せず、補正ありきの形式的な手続きにすぎないからだ。
 防衛省は、有識者研究会の最終提言を受けて年内にも補正作業を終える方針だ。中間報告は評価の見直しこそ求めてはいるが、単なる記述の変更で済ませられるよう、お茶を濁す程度の提言にとどめたことは明白だ。
 有識者研究会に関しては、日本自然保護協会など11の市民団体が透明性の確保の観点から公開を求めたが、審議は非公開のままだ。これでは科学的評価の信頼性など得られるはずもない。
 そもそも、公有水面埋め立て事業に関する知事意見で「環境保全は不可能」として404カ所の問題点が指摘されたアセスが、「非常によく実施されている」はずなどあり得ない。
 昨年末に県に提出された評価書には、県内採取量の17・5年分に相当する埋め立て土砂の調達先も明示されず、埋め立て区域で絶滅の恐れがあるウミガメが頻繁に上陸していることを確認しているにもかかわらず、「上陸に適していない」とするなどデータ隠しの疑念も出ている。
 そのほかにも、絶滅危惧種のジュゴンの生態解析やサンゴや海草の保全措置についても専門家らが疑問を呈しているほか、航空機騒音調査でエンジン調整音の計測を怠るなど、辺野古アセスのずさんさは枚挙にいとまがない。
 これに事実上のお墨付きを与える学者の良識と倫理観を疑う。政府もおためごかしのアセス手続きを即刻中断し、辺野古移設そのものを断念すべきだ。