革新統一候補断念 市民本位の市政問い直せ

 社民県連、社大、共産県委の3党が人選作業の遅れなどを理由に11月に実施される那覇市長選で革新統一候補の擁立を断念した。強固な革新地盤と言われた県都の首長選挙に革新陣営が戦いを挑めないのは異常事態だ。

 1961年の市長選以降、初めて候補者を出せなかった責任を3党は重く受け止める必要がある。本来なら昨年末までに人選を固め、今年6月の県議選などで立候補予定者の知名度や支持を広げる必要があったはずだ。しかし党の枠組みをなかなか決めることができず、3党が初めて協議のテーブルについたのが今年の4月だというから、あまりに遅きに失した。
 人選作業も混迷した。大学教授、国会議員、県議、市議らの名前が出たが、次々と浮上しては固辞され、擁立は不発に終わった。人材不足が原因で、人を育てる、発掘するという中長期的な戦略に欠けていたと言わざるを得ない。
 現職の翁長雄志氏が市民の根強い支持を得ている状況が作業を困難にさせたのも事実だろう。普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に反対を示し、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの県内配備には先頭に立って反対を表明し、県民大会の共同代表として発言力を高めている。
 革新陣営の専売特許だった「基地問題」が争点になりにくい状況にあることは理解できる。しかしこの構図は那覇市特有のものではない。オスプレイの県内配備について県内41市町村の首長、議長は保革問わず全員が反対を表明している。基地問題以外の争点を設定する挑戦者側の構想力が乏しければ、今後他の選挙でも候補者擁立に難渋するだろう。
 「最初から勝てないと分かっている選挙に出馬する人はいない」と話す革新系議員もいた。しかし、公開討論会を経て擁立した浦添市のように、従来型ではない人選を工夫できなかったのだろうか。
 ただでさえ、既成政党に対する不信感から支持政党のない無党派層が増えている。選挙権を行使する機会がもし制約されると、ますます政治不信を助長しかねない。
 有権者の市政や政治全般への期待や不満をどうくみ取っていくか。野党各党は今回の統一候補擁立の失敗を教訓に、市民本位の市政や市議会の在り方を根本的に問い直してほしい。