知事・首相会談 意図的な印象操作はやめよ

 野田政権は沖縄の声に耳を傾けるという体裁を繕ってはいるが、県民の痛みと真剣に向き合うつもりなど、さらさらないことがあらためてはっきりした。それ以上に不純な動機を隠そうともしない無神経さに、怒りを禁じ得ない。

 仲井真弘多知事は9日、野田佳彦首相と官邸で会談し、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場への配備撤回を求めた。首相は「重く受け止める」としながらも、配備撤回に応じることはなかった。想定内の回答であり、何ら驚くに値しない。
 許し難いのは、首相会談直後に、沖縄政策に関する関係閣僚と知事との意見交換の場が政府側の提案で設定されたことだ。沖縄の基地負担軽減と沖縄振興策をセットにして話し合うこと自体、「アメとムチ」で問題解決を図ろうという魂胆が見え隠れしており、やはり不純なものを感じる。
 それはオスプレイの普天間配備強行後の5日、沖縄政策に関する関係閣僚会合を開いたことからも見て取れる。外務、防衛大臣のほか、副総理や財務相らが出席し、普天間移設問題や沖縄振興策などの課題について、政府が一体となって取り組む方針を確認している。
 裏を返せば、野田政権や防衛官僚などの間には、「沖縄はしょせん、金次第で片が付く」との差別意識が根強いことを示している。より悪質なのは、そのような誤った認識を、国民にも植え付けようと躍起になっていることだ。
 実際にオスプレイが配備された今月1日以降、那覇、浦添、宜野湾の市街地上空では、回転翼を上に向けたヘリモードでの飛行など、日米両政府が9月に合意した安全対策に違反する飛行が頻繁に確認されている。
 首相は知事との会談で「安全対策の順守をフォローアップする」と述べたが、本来ならば安全対策の順守徹底を確約するのが筋だ。そうしない、いや、できないのは、配備ありきで、米軍の運用を制限する安全対策が“空手形”であることを知っているからにほかならない。
 首相―知事会談や関係閣僚会合は、沖縄は懐柔できるとの国民向けのパフォーマンスであり意図的な印象操作だとの疑いを指摘せざるを得ない。県民は単なるセレモニーやガス抜きの場など望んでいない。日本政府は即刻、オスプレイ配備の見直しを米側に要求すべきだ。