県議会抗議決議 返還促進突き付けた重み

 見ず知らずの2米兵に突然襲われた被害者の無念さに思いが至ったのだろう。静まり返った議場で、決議文案を読み上げた県議会米軍基地関係特別委員長の新垣清涼委員長が声を震わせた。

 県議会は米海軍兵による集団女性暴行致傷事件に対し、「激しい憤りを禁じ得ない」とする抗議決議・意見書を全会一致で可決した。
 米軍普天間飛行場に、オール沖縄の反対の民意を無視して海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配備されて間もない今回の凶行である。
 決議は「県民の我慢の限界をはるかに超え、県民から米軍基地の全面撤去を求める声も出始めた」と指摘した。
 沖縄の過重負担を上塗りするオスプレイ配備強行をめぐり、米紙ニューヨーク・タイムズは「(沖縄の)古傷に塩を塗り込むようなもの」と形容した。
 今回の暴行致傷事件は、沖縄社会にとって、オスプレイ配備で古いかさぶたが破けて血がにじむ生身の傷口に、新たに塩を塗るようなものだ。
 米軍事件・事故をめぐる従来の「基地の整理・縮小」に加え、今回の決議は初めて「返還」の促進を盛り込んだ。
 名ばかりの綱紀粛正を繰り返す米軍が有効な再発防止策を講じることはできまい。米軍専用基地の74%が集中する島に2万数千人の米兵を押し込める限り、新たな性被害を再生産してしまうことを危惧し、返還促進を突き付けたのだ。
 「基地の全面撤去」への言及とともに、日米両政府は決議の重みを真摯(しんし)に受け止めねばならない。
 決議を携えた県議らの抗議に対し、耳を疑う発言が早速飛び込んできた。日米地位協定の改定要求に対し、マグルビー在沖米総領事が「今回の事件は日米地位協定とは関係がない」と答えた。
 この人は、何が県民の怒りを呼び起こしているかに目を背けているとしか思えない。米軍駐留地に赴く米国の出先機関のトップとしての適格性に疑念が生じる。
 県警は、容疑者の2米兵が次の任地のグアムに向かう直前に逮捕した。あと1時間半遅れていれば、地位協定が壁となって、捜査に重大な支障を来した可能性が高い。
 事件の核心に直結する地位協定改定要求を過小評価する態度こそ、沖縄社会の反発を高め、溝を深めることを日米政府は自覚すべきだ。