オスプレイ訓練 合意はやはり「空証文」

 重く低い耳障りな音が、ビル用の丈夫な窓を突き破って伝わってきた。夜空から住民生活を圧迫するかのような不気味な音だ。
 在沖海兵隊が普天間飛行場に配備したMV22オスプレイ2機が初の夜間飛行訓練を実施した。基地への帰途、那覇市の新都心上空から浦添市方面へ飛ぶ様子を見た。

 米軍は県民の集団女性暴行致傷事件に対する憤りやオスプレイ反対の声をよそに、県全域で飛行訓練を本格化させている。
 この日は、仲井真弘多知事が米政府高官を訪ね、暴行致傷事件に直接抗議し、オスプレイ配備見直しを求めたばかりだった。
 仲井真知事は「沖縄ないしは日本に基地を置く資格はないとすら言える」と暴行致傷事件に抗議し、「県民の怒りは基地の存在にかなりの影響を持つ」と警告した。
 歴史的な知事の直訴当日に、夜間訓練を始める。米軍の傍若無人な振る舞いに歯止めが掛からない。
 オスプレイは飛ぶたびに、「安全宣言」で順守すると強調した合意事項に抵触する飛行を繰り返している。伊江島では重いコンクリートブロックをつり下げ、集落上空を飛んでいたことが目撃証言で分かった。危険極まりない行為だ。
 日米合意は、進入や出発経路はできる限り人口密集地域上空を避け、移動は可能な限り水上を飛行すると定めている。夜間飛行は「最小限に制限する」としている。
 沖縄防衛局は普天間飛行場周辺で飛行実態の目視調査を続け、自民党の外交・国防合同部会に対し「明白な違反はつかみきれていない」と報告した。話にならない。
 生命への脅威と感じ、オスプレイの飛び方に目を凝らして合意抵触の生々しい目撃証言や写真を寄せてくれる県民と、防衛局職員の目に映る機影は違うのだろうか。
 米軍側に寄り添うあまり、具体的裏付けもなしに合意違反に目を閉ざしているのではないか。
 このような姿勢では、住民の懸念や危惧に応えて、米側に合意を守らせることは無理だろう。ならば、一刻も早く沖縄からオスプレイを撤収するのが筋だ。
 ラムズフェルド元米国防長官は「歓迎されないところに基地は置かない」と言った。島ぐるみの反発が強まる今の状況は「県民の敵意に囲まれた在沖基地」の度合いを増幅させている。その全責任は民意を無視する日米双方にある。