日米共同巡回 解決策は協定改定しかない

 国民が被る不利益を顧みず米国におもねる。この大臣の対米追従の姿勢はどうあっても変わらないようだ。

 森本敏防衛相は、県内で相次ぐ米兵事件を受け、米軍側に那覇市内などで実施する夜間巡回を県警と共同で行うことを検討するよう要請した。
 共同巡回は、県内でこれまでにも米兵事件の再発防止策として話が持ち上がったが、県警側が日本の警察権が円滑に行使できないと懸念を示し、実行されていない。
 森本防衛相が、国家主権に関わる問題で軽はずみの提案をするのは理解に苦しむ。米軍側に基地外の民間地域でパトロールする権限は、認められていない。筋の通らない共同巡回など行うべきではない。警察当局も、法に基づいて淡々と拒否すべきだ。
 そもそも、米軍の深夜外出禁止令とは何なのか。事件が頻発する中で命令違反が相次ぎ、さらに事件を起こす。この異常事態も、県民には到底理解できない。森本防衛相が米軍に対してなすべきことは、その怠慢を批判し、禁止令を完全順守させることだろう。共同巡回など的外れだ。
 県警がこれまで共同巡回を否定してきたのには理由がある。巡回中に事件が起きた場合、米軍が容疑者の身柄を拘束し、県警に引き渡されない恐れがあるからだ。
 2008年4月には、衣料品店で万引し店員に身柄を確保された米軍人の息子二人を米憲兵が拘束。沖縄署員の事情聴取の要求を拒み続け基地に連れ帰った。共同巡回となれば、それと同様に事件発生時に身柄をめぐって米軍の横やりが入る可能性は否定できない。
 28日に開かれた在沖縄米軍と政府の出先機関、県内自治体が協議する特別会議でも、防衛相提案の共同巡回の説明がなされた。県警は、共同巡回に難色を示してきたこれまでの経緯を説明し、反対の姿勢を示した。当然だろう。
 同会議で、米軍側は県内の飲食店とのホットライン設置も提案。命令違反の通報を求めると言うが、これは自浄能力を自ら否定するに等しい。
 米兵犯罪の抑止は、米軍の特権を排除し、兵士の特権意識を根本から変えない限り無理だろう。小手先の対策を考えていては、事件防止はおぼつかない。真の解決へ向け、日米地位協定の抜本的見直しに踏み出すべきだ。