敦賀原発活断層 全国で総点検を進めよ


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 この場所に原子力発電所を造るべきではなかったと理解すべきだろう。原子力規制委員会の評価会合が、日本原子力発電(原電)敦賀原発2号機の原子炉建屋直下に通っている破砕帯が活断層の可能性が高いと結論付けた。

 原子炉から約250メートルの敷地内を全長35キロ以上の浦底断層という地震を起こす活断層が縦断しており、なぜこんな場所に原発が立っているのか強い疑問が湧く。
 原電は1970年稼働の1号機が建設される40年以上前から浦底断層や破砕帯の存在を認識していた。しかし「活断層ではない」と評価し、国も認めていた。その判断を見直さないまま87年に2号機の運転を開始している。
 しかし原電は2号機建設時の安全審査で、今回問題となった直下の破砕帯と敷地内の浦底断層の追加調査を実施していた。活断層であることを把握できた可能性があるが、原電は「問題はない」との調査結果をまとめ、審査で建設が認められている。
 原電が浦底断層を活断層と初めて認めたのは2008年に3、4号機の増設審査で専門家から「地質調査を恣意(しい)的に解釈している」と指摘されたためだ。建設を阻害する情報を意図的に排除してきたとしか思えない。原電はもはや1、2号機を廃炉にし、3、4号機の建設を断念するしかない。「安全神話」から目を覚ますべきだ。
 このような事業者任せともいえる原発立地を可能にしてきたのが、旧原子力安全・保安院の体質にあったのは明らかだ。原発推進の資源エネルギー庁と規制する立場の保安院が同じ経済産業省にあり、省内で人事異動が繰り返されてきた。電力側の調査追認に陥り、公平とは程遠い安全審査に終始してきたのは明らかであり、責任は重い。
 こうした反省からことし9月に発足した原子力規制委員会は現在、敦賀など6原発で活断層の有無を調べている。現地調査団は全員、過去に原発の安全審査に関与した経験がない専門家で構成されている。
 今回の評価と同様に、政治からの独立と信頼回復のため、自立した規制行政を確立する必要がある。過去の評価の誤りをためらわずに指摘し、科学的に判断する姿勢を貫いてほしい。
 さらに6カ所だけでなく、この機会に全国の原発周辺で断層の総点検を進める必要がある。