全首長首相要請へ 基地政策で新生自民示せ


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 政権奪還を成し遂げた自民党は、果たして生まれ変わったのだろうか。沖縄から見ると本質の見極めはそう難しいことではなく、その答えは程なく明らかになるはずだ。

 米軍普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に反対する県民大会を9月に開催した実行委員会は、県内の全41市町村長らが上京して来年1月28日に、首相に就任予定の安倍晋三自民党総裁に配備撤回や同飛行場の早期閉鎖などを直談判する方針を決めた。
 今月20日の会見で、実行委共同代表を務める翁長雄志那覇市長は「政権が代わったからといって問題の本質は何も変わっていない」と指摘し、新政権に沖縄の主張を直接訴える意義を強調した。
 オール沖縄の訴えにどう対応するのか、安倍次期政権の試金石となるのは間違いないだろう。
 翁長氏は、県内保守本流の政治家でありながら、基地問題の抜本的解決に向け、今や超党派の結集を主導する立場にある。自公が支える仲井真弘多知事も「県民党」を前面に掲げ、オスプレイ配備や普天間の県内移設に反対する姿勢を明確にしている。
 民主党が政権を担った3年余で、沖縄の自民党を中心とする保守層は変わった。いや、覚醒したとするのが的確だろう。過重な基地負担を沖縄に押し付けたまま見て見ぬふりをする、この国のひずみをまざまざと見せつけられたからだ。
 民主党政権は、自民党政権時代から連綿と続いてきた沖縄に対する「構造的差別」を顕在化させた。今度は自民党が構造的差別を解消する番だ。
 普天間飛行場が1996年の返還合意から自民党政権下で13年余も動かなかったのはなぜか。まず、真摯(しんし)に反省する必要がある。
 安倍氏は衆院選後、普天間移設問題に関し、名護市辺野古に移設する方向で地元の理解を求めていく方針を示した。これでは反省どころか、先祖返りだ。即刻、この方針を撤回してもらいたい。
 安倍氏は「新しい自民党に生まれ変わった」と訴えたが、疑心暗鬼でいる国民が決して少なくないことを忘れてはならない。
 まずは全市町村長による沖縄の主張に真剣に耳を傾け、オスプレイ配備や県内移設方針を含め基地政策を抜本的に改めるべきだ。それなくして新生自民をアピールする資格などないと心すべきだ。