新年を迎えて/平和の先頭にこそ立つ 自治・自立へ英知を

 新年を迎えた。わたしたちは戦後68年の年の初めに、まず「平和国家日本」の足跡をかみしめたい。同時に沖縄社会の望ましい未来を見据え、平和と自治、自立の在り方について、県民論議を重層的に深めていくべきだと提起したい。

 戦争放棄をうたう日本国憲法、激戦地沖縄や被爆地広島・長崎が発する反戦・反核のメッセージ。それらは、歴史の教訓に学ぶ日本の映し鏡として、国際社会の日本観を醸成してきた。日本にとって貴重な「平和資産」と言えよう。
 日本は「平和憲法」を生かし、世界平和の先頭に立つ。沖縄でもそれが議論の前提だと考える。

アンフェアな日米
 安倍晋三首相の下で憲法9条を含む「憲法改定」、「国防軍」創設が現実味を帯びる。だが、国民の求める優先課題はそれらではなく、経済と生活・雇用の再生、震災復興だ。
 消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)への参加、原発政策を含め国論を二分するような物事の決定を数の力で強行してはならない。「多数決」の前に、「熟議」があって初めて政策の民主的正統性は担保される。自民、公明両党には自制心を持ってほしい。
 沖縄は「基地のない平和で豊かな沖縄」の実現へ向け、例年以上に粘り強い取り組みが求められる。
 日米両政府は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画を着々と進める。昨年10月には事故が頻発してきた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備を強行した。
 辺野古移設に向けた埋め立て承認申請の手続きが1月末以降、加速する。仲井真弘多知事は「県外移設」の姿勢を貫き、申請を「不承認」とする可能性が高い。その場合、国による是正指示や代執行、訴訟に発展する可能性もある。
 辺野古移設案は、県民が拒絶し、米側専門家や前防衛相の森本敏氏も米海兵隊の沖縄駐留の軍事的合理性に疑義を指摘するほどで、実質的に破綻している。移設強行は愚かだ。日米合意を見直し、県外・国外移設、閉鎖・撤去への道筋を描き直すべきだ。
 日米は自由、民主主義、人権尊重、法の支配を共通の価値観と喧伝(けんでん)する。ならば、アンフェアな沖縄政策も根本的に見直すべきだ。
 一方、沖縄は道州制導入に積極的だった安倍首相の再登板を、自治権拡充の転機とする構想力や交渉力があってもいいだろう。
 2009年9月、沖縄道州制懇話会(座長・仲地博沖縄大教授)が仲井真知事に提言した「特例型単独州構想」は参考になる。

構造的暴力
 懇話会は、大学人や経済・労働界、県議会、市町村長の代表などで構成。道州制導入の意味を、1609年の薩摩の琉球侵攻、琉球処分(1879年)、対日講和条約による沖縄分離(1952年)、日本復帰(72年)などに相当する「世替わり」と認識。「自らの意思ではなく、他からの力によって沖縄の形がつくられてしまう」と、歴史から教訓を引き出した。
 提言には、関税や検疫、入国管理事務、沿岸・国境警備など国の権限の大幅移譲、駐留米軍に対する自主課税権などが盛り込まれ、「新沖縄州政府」像が描かれた。
 10年には、松島泰勝・龍谷大教授らも「琉球自治共和国連邦独立宣言」を発表した。今年も自治・自立・独立についての県民論議が、より深まることを期待したい。
 平和を着実に前進させたい。平和学の世界的権威の一人で、平和的手段による紛争解決のための非政府組織(NGO)「トランセンド(超越)」の代表であるヨハン・ガルトゥング氏は、戦争のない状態を「消極的平和」と捉え、貧困、抑圧、差別など安全や人権を脅かす「構造的暴力」がない状態を「積極的平和」と定義する。
 目指すべきは「積極的平和」だ。軍事同盟では「構造的暴力」を解消できない。国際協調とNGOを含む市民力によって、沖縄と世界にはびこる「構造的暴力」を解消する。沖縄からも国際社会の連携・協力を呼び掛けたい。

英文へ→[Editorial]Okinawa should spearhead a global drive to promote peace