07年県経済展望・「自立」へ確かな一歩を 築きたい新ブランド戦略

 日本経済は緩やかな景気回復を持続している。大手企業を中心に過去最高益を計上する企業が相次ぎ、戦後最長の「いざなぎ景気」を超えた。
 経済成長に軸足を置く安倍晋三政権は、2007年度から5年以内に「名目で3%台半ば程度、あるいはそれ以上」の経済成長率が達成できると明記した経済財政運営の中期方針を了承。「上げ潮路線」を鮮明にした。
 しかし、見過ごせないのは「いざなぎ景気」超えの裏にある地域間格差の問題だ。景気回復を実感している地方の割合はどれほどだろうか。国民にしても多くは実感に乏しく、好況感という打ち上げ花火を遠くから眺めているような思いではないだろうか。好況感が隅々に及ぶような経済政策運営を政府には注文しておきたい。
知事のかじ取り
 県経済を下支えする政府の07年度沖縄関係予算案は、2642億3900万円。公共工事中心の沖縄振興開発事業費が削られた影響などで前年度比2・9%減少したが、ソフト事業主体の基本的政策企画立案等経費は0・1%伸びた。
 沖縄イノベーション創出事業や情報産業人材育成支援事業などのソフト事業が新たに盛り込まれたのは、観光、雇用面などで大胆な数値目標を掲げ当選した仲井真弘多知事を後押ししたい政府の姿勢が垣間見える。
 悲願である自立型経済を目指す沖縄振興計画は、来年度は折り返し点を迎える。公約実現に向け知事がどう指導力を発揮し、県政のかじ取りに当たっていくのか注視したい。
 日本銀行那覇支店や県内金融機関系シンクタンクなどの専門家は、今年の県内景気動向について総じて「持ち直しの動きが続く」と予測する。
 主軸となる観光産業は引き続き高い水準を維持し、個人消費関連も堅調に推移するとの見方で一致している。四半期ごとの景気予測でも、五段階評価の「4」あるいは「4・5」とまずまずの得点が並んでいる。
 回復の足取りが生活実感に着実に反映されるような年であってほしい。
 県経済のけん引役である沖縄観光の昨年の入域客数は、11月末現在で518万1800人。前年を2・4%上回った。12月の入域客数を前年並みと見積もっても5年連続で過去最多を更新する見通しである。
 沖縄観光が右肩上がりのカーブを描いているのは、衰えない沖縄ブームに加え、増加の一途をたどる修学旅行客、神戸や北九州間に航空路線が新設されたことなどが要因だ。
新需要への対応
 昨年は単月で50万人を突破した月が3回あった。600万人時代が射程に入ってきたとみる向きもある。とはいえ、このまま一本調子でいくとは限らない。リゾートウエディングや豊かな自然を生かしたエコツーリズムといった多様化する観光需要に確実に対応し、顧客を満足させる新商品づくりなどの努力が欠かせない。
 消費関連では、人口の増加や大型家電店の進出などを背景に底堅い動きが予測される。所得環境の改善は不十分ながら地上デジタル放送の本格開始で、液晶やプラズマテレビなど買い替え需要の期待が高まっている。
 建設関連は、政府の沖縄予算案に表れているように公共事業の縮小は避けられない。談合処分などで窮地に立つ建設業界の試練は続きそうだ。
 ただ本土資本や外資によるホテルへの投資の流れは続く。団塊世代をはじめとする移住者の住宅需要なども見込まれ、地合い自体はそれほど悪くない。
 製造業の振興は古くて新しい課題だが、本土市場で評価が高い健康食品など沖縄の物産製造に活路が見いだせよう。販売ルートの強化、付加価値の高い商品開発などが鍵を握る。
 沖縄産品のブランド力に着目し、県産素材を使って商品開発に乗り出すなど本土資本の参入も後を絶たない。沖縄モノのイメージだけでは通用しにくくなっている。新たなブランド戦略が求められる。
 謙虚さと同時に、逆風にさらされてもビジネスチャンスをしっかりとらえ、立ち向かう。経済界にはそんな気概とチャレンジ精神を期待したい。