憲法解釈見直し 戦争への道を進むな

 安倍晋三首相が2月にも見込まれるオバマ米大統領との会談で、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈見直しの加速を伝えるという。これは戦争放棄をうたう日本国憲法を骨抜きにする―と宣言するに等しく、到底容認できない。

 冷静な国民論議は必要だろうが、平和主義は現行憲法の核心である。これに反する憲法解釈の重大な変更には疑問を禁じ得ない。
 政府が1981年に行った閣議決定は、わが国が国際法上、集団的自衛権を有することは「主権国家である以上、当然」とする。一方で憲法9条が許容する自衛権の行使はわが国の防衛のために必要最小限度の範囲と理解し、「集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されない」と明記している。
 安倍氏にすれば、改憲のブレーキにもなっている「解釈改憲」が目障りで、早く自主憲法制定への道を切り開きたいのだろう。しかし、「平和憲法」を否定し、この国をどこへ導こうというのか。
 安倍政権は日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定や長期的な防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」の見直しを打ち出す。狙いは中国の軍事的台頭に打ち勝つための「日米同盟の深化」だろう。
 集団的自衛権行使が可能なように憲法解釈を見直すということは、端的に言えば、この国を米国と一緒に戦争ができる国につくり変えるということだ。
 だが、冷静に考えたい。中国は世界2位の経済大国として今後も国際的影響力を強める。その中国を敵視する軍事同盟の深化が、アジアの持続的な平和と市民の幸福につながるのか。安倍首相は中国の軍備増強に強く自制を促し、揺るぎない戦略的互恵関係の構築にこそ指導力を発揮すべきだ。
 欧州では戦後、多国間の安全保障協力機構ができ、各国の利害調整機能を持つ欧州連合(EU)も創設された。これに対しアジアはいまだ東西冷戦を引きずっている。
 この国が米国との二人三脚でしか外交・安全保障政策を構想できないのは情けない。同盟深化とも自衛隊増強とも違う方向性を、欧州にも習いなぜ検討しないのか。
 安倍首相に求めたい。この国の主権国家として誇りを取り戻し、国際孤立を招かない清新な国家ビジョンを示してほしい。古びた憲法観、安保観から脱皮する時だ。