オスプレイ事故 欠陥がまた証明された


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 事故を繰り返してきたオスプレイが、今度は積載物の落下事故を起こした。機体の構造上の問題にも関わる由々しき事態だ。

 米カリフォルニア州南部のサンディエゴで17日、海兵隊仕様の垂直離着陸機MV22オスプレイから約19リットルのバケツが落下し、自動車修理店の屋根を突き破った上、車6台に被害が出た。
 オスプレイは気圧調整機能がない上、後部の視界を保つため飛行中も後部ハッチを開けた状態で飛行する。このため、乗員や積載物をきちんと固定せずに飛行すると落下する恐れがあるというのだ。
 危険極まりない。米軍は即刻オスプレイの飛行訓練を中止し、徹底的に事故原因を究明するとともに、再発防止策を講じるべきだ。県民の生命の安全を考えれば、当然沖縄配備を見直す必要がある。
 ミラマー基地によると、容器物はロープで固定されていたが、何らかの原因でほどけ、機体のドア部分か後部ハッチから落ちた可能性があるという。
 たとえごく小さな部品でも、飛行中の機体から落下すればその衝撃は想像を絶する。二重三重の落下防止対策がなされているべきであり、固定が徹底されていなかったで済まされる問題ではない。
 後部ハッチからの落下事故は2011年にもアフガニスタンで発生している。乗組員が高度約60メートルで飛行していた機体から転落し、死亡したことは記憶に新しい。
 墜落事故が絶えず、米国のメディアも「空飛ぶ恥」「未亡人製造機」と揶揄(やゆ)するオスプレイ。これが積載物まで頻繁に落下させるようであれば、まさに欠陥だらけではないか。
 今回の事故で落下したのはバケツだったが、これが兵士や弾薬だったらと考えると背筋が凍る。今回は人的被害はなかったが、一歩間違えれば大惨事となっていた。
 そんな機体が、今沖縄の上空を平然と飛び続けている。県民は機体墜落の恐怖だけでなく、落下物にもおびえなければならない。こうした理不尽が受け入れられようか。
 オスプレイは、今後普天間飛行場に12機が加わり、さらには空軍嘉手納基地にも配備する計画まで浮上している。県民の命への脅威が倍加する。到底承服できない。
 日米両政府が第一になすべきことは、県民の配備撤回の訴えを真摯(しんし)に受け止め、応えていくことだ。