世界遺産リストへ 住民合意と保全対策急げ

 沖縄の自然を世界の宝に―。県民の悲願達成にまた一歩近づいた。
 政府は31日、2003年に世界自然遺産の候補地に選ばれた「奄美・琉球諸島」(鹿児島、沖縄両県)を、暫定リストに記載することを決めた。現在、日本の世界遺産暫定リストで自然遺産での登録はなく、記載されれば日本で最有力の候補地になる。

 登録されると知名度が飛躍的に向上し、自然の保護と活用を調和させた地域振興が期待できる。課題を整理、解決し、一刻も早くユネスコへの推薦、本登録にこぎつけてほしい。
 2000年には「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界文化遺産に登録されている。文化と自然の双方での世界遺産に登録されれば、その相乗効果は計り知れない。沖縄の魅力を世界に発信するまたとないチャンスとなろう。
 ただ、近年国内の世界遺産登録地が観光客によって荒らされる被害が続発している。登録によって自然が損なわれては本末転倒だ。人類全体の遺産として損傷や破壊などの脅威から保護・保存するという、世界遺産の目的を忘れてはならない。
 「奄美・琉球諸島」は、自然保護措置を厳格にすることや自然調査の進展具合などから、暫定リスト入りが先送りされてきた経緯がある。本登録を実現するためには国立・国定公園など「特別保護区地区」の設定、ヤンバルクイナなどの固有種や希少種の保全対策が不可欠だ。
 そのためにも、住民の合意形成と具体的な保全対策の確立に向けた作業を急ぐ必要がある。森を熟知する林業関係者の建設的関与も不可欠だろう。国は世界遺産登録の意義やメリット、影響などの具体例を示した上で、地域の合意形成に万全を尽くす必要がある。
 国内法が及ばない7800ヘクタールという米軍北部訓練場への対応も大きな課題となる。演習場を含まない形で国立公園化することも検討されているようだが、そうした場当たり主義が通用するとは思えない。
 世界的に貴重な自然が、今も演習によって脅かされている。抜本的な解決策は、日米地位協定を改定し、在沖米軍基地に環境関連法令を適用するほかあるまい。
 本登録には、沖縄、鹿児島両県の連携と、実現に向けた住民の固い決意が求められよう。県民一丸となって登録への機運を高めたい。