2月県議会開会 基地と振興 均衡ある攻めを


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 仲井真弘多知事は、基地問題と沖縄振興の2大課題でバランスの取れた攻めに徹してもらいたい。それを検証する役割を担う県議会には、活発な論戦を求めたい。
 

 県議会2月定例会で、仲井真知事が、県政が進むべき道筋を描く2013年度の県政運営方針を示した。米軍普天間飛行場の返還・移設問題をめぐり、知事は「政府に対し、日米共同発表を見直し、県外移設に向け取り組むよう強く求めていく」と明言した。
 同じ日に沖縄防衛局が名護漁協に対し、移設先の名護市辺野古地先の埋め立てへの同意を求める手続きに着手した。政府が“本丸”である知事への申請に踏み出すことが確実視される状況だ。
 こうした中、知事が「地元の理解が得られていない移設案の実現は事実上不可能だ」と突っぱねたことは、公約、県民世論に照らし当然だろう。県議会は知事が政府と渡り合い、県外移設に向けた揺るがぬ意思と具体的な道のりを示すよう促してほしい。
 1年前の県政運営方針は「県外」の文言を外し、憶測を呼んだ。安倍政権が県内移設圧力を強める中での「県外」の復活は、「沖縄側が妥協する」という根拠を欠いた印象操作に走る政府の思惑にくぎを刺すものとなるだろう。
 知事は沖縄21世紀ビジョンが示す将来像の実現に向けた、積極果敢な攻めの姿勢を前面に打ち出している。本土復帰40年の節目にスタートした沖縄振興計画が2年目に入るだけに、知事は「沖縄振興を軌道に乗せ、加速させる重要な年」と位置付けた。沖縄への入域観光客増や東南アジアとの物流拠点化を意識し、那覇空港第2滑走路の工期短縮の必要性を説く。
 沖縄の自立度を高めるため、知事は、県や市町村の創意工夫が問われる一括交付金を沖縄振興全般に生かす決意も示している。
 13年度予算案は、過去最高額の6988億円だ。2年度目となる一括交付金は、県民の目線に近づいて生活向上に資する実効性を高めねばならない。初年度の反省を経て、使途の不自由さを訴える市町村もある。自立、自律度の向上に向け、実施効果など議会のチェック機能が極めて重要となる。
 沖縄の試練は続く。明確な目的意識に基づく政策遂行に向け、行政の執行力と議会の検証力を相互に高め合うことが求められる。