オスプレイ本土訓練 この程度で負担軽減とは

 この程度のことで「沖縄の負担軽減」を称するとは驚きだ。普天間飛行場に配備されている米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの本土での訓練予定が発表された。菅義偉官房長官は会見で「少しでも沖縄の負担を軽減できれば」と述べたが、普天間にある12機のうちたった3機が、わずか3日間、訓練するにすぎない。

 沖縄には年間365日を通して置き、今夏にはさらに24機に増やそうとしている。それで「沖縄の負担軽減」と恩着せがましく言うのは筋違いも甚だしい。米側に何も言えない自らの外交的非力を、沖縄にこと寄せて取り繕っただけではないか。
 沖縄の負担軽減を言うのなら、オスプレイ配備を撤回するのが筋だ。航空輸送の発達や軍事作戦の質的変化などにより、海兵隊の常駐は沖縄にも日本にも不要だ。政府がどうしても日本に必要と考えるなら、オスプレイの訓練だけでなく海兵隊を丸ごと県外に移転してもらいたい。
 日米両政府は昨年の沖縄配備直前、オスプレイの安全確保策(日米合同委合意)を発表した。米軍が完全に順守することなどあり得ないことを、米軍の実態を知る日本政府は百も承知だったはずだ。
 公表したのは、いずれ合意破りが確実に露見する沖縄に向けてではあるまい。「政府が問題を解決した」というポーズを全国に見せるのが狙いだったのだろう。
 その意味で、こうした安全確保策のウソが今回の訓練で全国的にも露見するのは一歩前進かもしれない。「飛行高度は地上150メートル以上」という合意があったが、低空飛行訓練は60メートル前後の高度で飛ぶ。沖縄でのあまりにあからさまな「合意破り」「空の無法状態」のほんの一部を、本土も目の当たりにすることになろう。ただそれはわずか3機3日間であり、認識はごく狭い範囲にとどまるはずだ。
 合意は「人口密集地上空を避けて飛行」「基地内のみヘリモードで飛行」とうたうが、沖縄ではあまりにも公然と破られ通しだから、もはや笑い話だ。本土では市街地上空の飛行はほとんどないはずで、こうした認識を共有できるとは考えにくい。
 とはいえ、基地問題が実は日本の外交、政府の体質の問題であることを知るきっかけにはなろう。訓練を機に、米軍基地の在り方を沖縄と本土で真剣に、共に考え、議論していきたい。