橋下氏発言 速やかな撤回、謝罪を

 人権感覚を著しく欠いた問題発言なのに、本人はほとんど考えを改めるつもりはないようだ。

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が旧日本軍の従軍慰安婦について「必要なのは誰だって分かる」と発言。米軍普天間基地司令官に「風俗業を活用してほしい」と提案したことも明らかにした。
 女性を「モノ」として扱うような発言だ。戦時中に慰安婦として尊厳を奪われた人たちを再び傷つけている。激しい批判が寄せられているのは当然だろう。政党、自治体のトップが性暴力を容認するかのような発言をすることは到底理解できない。
 慰安婦問題で橋下氏は戦時中の旧日本軍の関与や強制性を認めた1993年の「河野談話」を批判してきた。だがそもそも米国などの国際世論は性暴力には非常に厳しく、強制性があろうとなかろうと、慰安婦の歴史そのものを非難していることを指摘しておきたい。
 発言について橋下氏は問題提起の意図があったと説明したが、結果的に日本に対する評価を大きくおとしめた。海外の厳しい反応の背景には、就任前まで河野談話の修正を主張してきた安倍晋三首相らに対する厳しい視線もある。
 橋下氏は普天間の司令官に「海兵隊の猛者の性的エネルギーをきちんとコントロールできない」などと述べたという。米兵の綱紀粛正策や駐留自体を抜本的に見直すことなく、性犯罪抑止を性的サービスに求める発想は不見識極まりない。復帰41年の今日まで続く沖縄戦後史を振り返れば、「売春が存在しても米兵の性暴力は繰り返された。風俗業がなかったからではない」(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の高里鈴代氏)ことが分かる。この重い事実を直視したい。
 橋下氏は15日、「(慰安婦を)容認はしていない」などと釈明する一方、「(旧日本軍の慰安婦を)正当化するつもりはないが、当時は世界各国がやっていた」と重ねて持論を展開した。性風俗活用の提案も繰り返したが、その発言には「性犯罪に遭いたくないなら現代版の慰安婦を用意しろということ」(作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏)といった、沖縄への構造的な差別意識が潜んでいまいか。
 橋下氏は発言を直ちに撤回し、謝罪すべきだ。多くの怒りを買い、中韓両国はじめ国際的な不信を増幅させるのは愚かなことだ。