12機岩国到着 オスプレイ全機を撤収せよ


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 米軍普天間飛行場に追加配備される米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が岩国基地に到着した。機体の搬入や整備を経て8月上旬にも普天間に飛来する予定だ。昨年10月の12機に続いての強行配備で、24機が沖縄に駐留することになる。

 県内では知事と全41市町村長が反対を表明し、県議会と全市町村議会が反対決議をしている。沖縄の民意を無視した強行配備は到底容認できない。
 オスプレイ配備後の昨年10月から今年3月末までの間で、普天間飛行場から派生する航空機騒音は宜野湾市上大謝名地区で9344回発生した。前年同期と比べて1206回、14・8%増加した。機数が倍増すれば騒音も倍増するのは明らかだろう。飛行場周辺の住民被害を日米両政府はどう考えるのか。
 昨年2月、米側から在沖海兵隊の岩国への一部移転を打診された際、政府は即座に断った。玄葉光一郎外相(当時)は岩国市長に「(移転を)お願いするつもりはないので安心してほしい」と述べた。沖縄配備を断り、なぜ沖縄県民に「安心してほしい」とは言わないのか。この国にとって沖縄は何なのか。
 普天間飛行場に駐留する第1海兵航空団は1976年に岩国から沖縄に移転した。本土から沖縄には簡単に移転し、沖縄から県外への移転は政府が拒絶する。これは差別以外の何物でもない。
 昨年8月、当時の森本敏防衛相は一時移駐した山口県知事に「大変な心配、迷惑をかけ申し訳ない」とわびた。今回の地元への伝達では沖縄県と宜野湾市を訪れたのは沖縄防衛局の企画部長で、1週間程度とどまるだけの山口県と岩国市には国会議員の防衛政務官が向かった。沖縄軽視にも程がある。
 オスプレイの飛行実態について、日米間で合意した安全確保策に照らして違反だと県が指摘した318件について、沖縄防衛局は「違反しているとの確証は得られていない」との結論を公表した。午後10時以降の飛行を確認しているが「運用上必要と考えられるものに制限される」とあることから、合意違反ではないとしている。野放図な飛行を容認するとは犯罪的だ。
 これ以上、県民は危険と共存する不条理を受け入れることはできない。沖縄から全てのオスプレイを撤収させるべきだ。