有所見率最悪 地道に生活改善を図りたい


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 由々しき事態である。職場の定期健康診断で「異常」が見つかった人の割合(有所見率)は沖縄が2年連続で全国最悪となった。

 有所見率が高ければ、10、20年先には死亡率の高さという結果としてはね返ってくる。沖縄の長寿回復どころか全国に比べ今後ますます悪くなるということだ。
 事態は放置できない。悪循環から抜け出すべく県民挙げて取り組みたい。こと健康に関して即効性のある対策は考えにくい。息の長い地道な取り組みを一つ一つ重ねていきたい。
 2012年の沖縄の有所見率は63・9%だ。全国最悪に転落した前年より0・1ポイント下降したが、全国平均を11ポイントも上回る。07年には全国平均との差は2ポイント程度しかなかった。差が開いたのは問題だ
 県内は生活習慣病の要因となる血中脂質や肝機能などに問題のある人が多い。まさに生活習慣に問題があるというサインと言える。運動から遠ざかっている、歩かないといった生活を改め、食習慣を改善する必要があろう。
 県内はもともと塩分摂取が少なかったが、復帰後、本土の食習慣が流れ込み、若年者を中心に塩分摂取が増加し、全国並みの水準に近づきつつある。若者に多いということは、数十年先に短命になるということだ。この流れを反転させなければならない。
 長野県は2010年の都道府県別平均寿命で男女とも1位となり、「長寿県」を確立した。
 かつては塩分の取り過ぎによる脳卒中での死者が全国最悪だったこともある県だ。だが30年ほど前から「みそ汁は1日1杯」「そばやラーメンの汁は半分残す」といった標語の下、減塩に取り組んだ。野菜の摂取増も顕著だ。男女1位の称号はこうした長年の地道な取り組みが実を結んだ結果である。
 裏を返せば、沖縄も生活改善次第で十分反転できるということでもある。見習いたい。
 沖縄は通院など入院外受療率が全国最下位だが入院受療率は全国22位と高い。受診を避けている間に病状が悪化し、即入院になるということだ。健康に対する意識の低さの反映であろう。所見を重く受け止め、放置せず再検査を確実に受けたい。
 従業員が健康なら企業イメージが上がるだけでなく生産性も高まる。企業も再検査を促すなど積極的に取り組んでほしい。県全体の努力で長寿ブランドを取り戻そう。